コラムヨーロッパ地域・海外

ドイツの迅速なコロナ援助、詐欺の温床に…

コロナウイルスによって世界中の中小企業が危機に貧していますが、ドイツはその中でも迅速に援助を行いました。
例えば、最も人口の多いノルトライン=ヴェストファーレン州では、5人以下の自営業者や小規模事業者に9,000ユーロ(約105万円)、10人以下の小規模事業者には15,000ユーロ(約175万円)を資金提供し、中小企業が倒産しないよう行動しました。
(なお日本でも4月末、影響を受けた法人・個人事業主に、100万円~200万円の持続化給付金が支給されます)

給付金は窓口の混雑を防ぐため、オンラインでの申請となりました。
ここまでは「さすがドイツ、迅速で先進的な対応だ」という評判で大変好評だったのですが、問題はそこからでした。

申請開始と同時に多くの偽サイトが立ち上がり、給付金を掠め取っていったのです。

からくりはこうです。いかにもそれらしいデザインの偽サイトに申請フォームを作り、各事業者に情報を入力させます。
その情報を詐欺集団が「本物の申請サイト」に入力します。この時、振込先の口座だけは、詐欺集団が所有する口座を入力します。
そうすると100万円もの金額が、迅速に詐欺集団の口座に振り込まれるのです。

調査の結果90以上の偽サイトが存在しており、殆どは国外サーバを使用していたため追跡が難しい状況でした。
事態を重くみた州の経済大臣は、1週間で申請サイトを閉鎖しました。(金曜日には再開する予定とのことです)

申請サイトが閉鎖される前に、3500~4000もの申請者が詐欺の被害者となったそうです。

なお、同じくドイツで、1000万枚のマスクをネット販売する、としたサイトが立ち上がり多くの人が被害に会いました。犠牲者の中には同州の保険当局も入っていたとのことです。

参照:https://www.thestar.com.my/tech/tech-news/2020/04/15/germanys-corona-aid-was-fast—but-so-were-the-fraudsters(英語

日本でも起こる詐欺事件。

このような非常事態になんてことを、と怒りを感じられるのも最もですが、非常時こそ暗躍するのが犯罪者です。
日本でも「おやじ、マスクあるけど…」と息子を装って電話してきた詐欺集団に、90代男性が300万円を騙し取られました。

先程も書いたとおり、今月末、業績の下がった事業者や個人事業主を対象に「持続化給付金」が支給されます。
まだ手続き方法等の詳細は明らかにされていませんが、こういった金銭を狙う詐欺集団も多く存在します。

今回、各国がこのような給付金や現金配布を行っていますが、申請方法・支給方法には多くの課題が残されています。通常ですと専用窓口を作る所が、三密となってしまうため作れないのです。
お金を迅速に、かつ間違いなく企業や個人に届ける方法は、おそらく今後数年で整備されることでしょう。

しかし今はとにかく用心が必要です。
メールで来たリンクを疑いもせず開いたり、確認しないまま申請サイトから手続きに入らないようしましょう。
「go.jp」で終わるドメインは、政府やそれに准する機関のみに所有が許可されたアドレスです。申請サイトがこのドメインかどうか確認しましょう。

この事態を引き起こしたのはパンデミックですが、今は「インフォデミック」(情報氾濫)も大きな問題となっています。
ウイルスに対するのと同じように、情報に対しても注意深く接していきましょう。

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