夜中に飛び込んできたこちらのニュース
https://www.yomiuri.co.jp/science/20191023-OYT1T50251/
米グーグルなどの研究チームは23日、同社の量子コンピューターの計算速度が、現在の世界最速のスーパーコンピューターを大幅に上回ったと、英科学誌ネイチャーに発表した。スパコンで1万年かかるとされる特殊な計算を、3分20秒で終えたという。
ネイチャー誌に同時掲載された解説記事で、米マサチューセッツ工科大のウィリアム・オリバー教授は「ライト兄弟の初飛行に匹敵する偉業」とたたえた。
恐ろしく大雑把に解説します。
現在注目されてる最先端技術に、「量子コンピュータ」という研究があります。
従来のコンピュータが「0」と「1」でしか考えられない中、
量子コンピュータでは、「量子力学的な重ね合わせ」を用いることにより、従来コンピュータでは到底出せない計算速度を出すことができる…はず…という研究です。
これはタイムマシンとか軌道エレベータとかの「いつかできるといいねー」という話とは違い、実用化に向けて着々と結果を出し続けています。
もしこの量子コンピュータが「完成」したなら、これまで「コンピュータでも計算が難しい」ことで保ってきた暗号技術が突破され、
クレジットカードやSSL通信が成り立たなくなり、ビットコインも終焉を迎える……という話もあります(ここの真偽は置いときます)
ここまでがざっくりとした前提です。
そして昨日の日経等で取り上げられた今回のニュース。
まるで量子コンピュータにより革命が起こされ、明日からクレカもSSLもビットコインも無価値になるのでは!?と騒ぎになりました…
例えば、ビットコインの価格は、昨日21時頃に1BTCあたり4万円も急落しました。
「どうしよう!クレカを今すぐ停止したほうが良いのか!?」と驚かれたあなた。
落ち着いてください。調べたところ、まだ私達の生活が変わるニュースではないようです。
ひとまず要点だけ掲載すると
・今回のGoogleの発表は「量子コンピュータは、スーパーコンピュータより高速で計算できる」ことを、「実験で検証できた」というニュース
・今回用いられた計算式は、実験用の特殊なもの
・「計算ができた」段階であり、精度はそもそも求めていない
・まだ「あらゆる計算を高速に解ける」状態ではない。
・もちろんクレカが使えなくなったり等の、生活を一変させるニュースではない。
・IBM等から、今回の計算が従来のコンピュータを使っても2日ちょっとで終わるのでは?と反論記事も出ている
参照:https://www.ibm.com/blogs/research/2019/10/on-quantum-supremacy/ (英語)
もちろん、残念なニュースという訳ではありません。量子コンピュータの完成にまた一歩近付いたことは確かです。
しかしこの情報化時代では、「すごいニュースだ!」という声とともに、
こういった「フェイクニュースとまでは言わないまでも、ミスリードを誘うようなニュース」がたまに流れてきます。
驚くようなニュースが流れてきた場合、まずは落ち着いて他のソースを当たってみましょう。
特に詳しい専門家の方が、そのニュースをどのように受け止めているのか、
ビットコインを売るのは、それを見てからでも遅くないでしょう。
※取り急ぎ調べた結果をまとめた記事です。詳細は以下の原点等を御覧ください
参考サイト:
Googleのリリース(英語):
https://ai.googleblog.com/2019/10/quantum-supremacy-using-programmable.html
natureの論文(英語):
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1666-5
IBMの反論記事(英語):
https://www.ibm.com/blogs/research/2019/10/on-quantum-supremacy/
Googleが量子超越を達成 -新たな時代の幕開けへ(前編)※専門家の方の解説(日本語):
https://www.qmedia.jp/google-supremacy-1/