Netflixのコンテンツ予算は2019年初頭も話題になりましたが、その勢いを緩めることはないようです。
ウォールストリートのBMO Capital Marketsによる予測では、2020年、Netflixはコンテンツ予算に173億ドルを投資するとのことです。ちなみに2019年は153億ドルでした。着実に増えていっています。
173億ドルがどのぐらいの数字なのかという点についてですが、現在の相場では約1兆9千億円になります。
比較として2019年、日本テレビの番組制作費は約980億円です。桁が多すぎてわからなくなるかもしれませんが、19分の1にしかなりません。
NHKですらも番組制作費は1,550億円です。これでも他の放送局には羨ましいぐらいの予算なのですが、12分の1にしかならないのです。
もはや日本のテレビ局は、コンテンツ制作費で比較できる対象ではないでしょう。
一方でこのコンテンツ制作費が、高すぎるという声も聞こえます。
まるで崖に向かってチキンレースをしているようだと。
たしかにライバル企業に比べても、この予算は高すぎます。
Disney+のオリジナルコンテンツ予算は10億ドル程度の予想ですし、 HBO Max(アメリカのストリーミングライバル社)でも、20億ドル程度です。
apple TV+が60億ドルを費やすニュースは、驚きをもって広められましたが、それでもNetflixの3分の1程度にしかなりません。
Netflixが抱える146億ドルの長期債務や、コンテンツサプライヤに対する191億ドルの支払いも不安を呼んでいます。
しかし5Gが浸透し始める今、動画に対する人々の向き合い方は変化するはずです。時代はすでに「可処分所得の奪い合い」ではなく「可処分時間の奪い合い」へとシフトしています。
Appleが生産ラインに1兆円を投入したとしても、今では誰も驚かないでしょう。しかし2013年にはニュースになりました。もしそれと同じことをNetflixがしているとしたら…
すでに「GAFA」と呼ばれていたアメリカ大企業を「FAANG」と呼び替えている人もいます。
もしいずれNetflixが、GoogleやAppleのように「1兆ドルクラブ」に入るのであれば、今年の2兆円近い予算も最初の1歩に過ぎないのかもしれません。
参照:Netflix Projected to Spend More Than $17 Billion on Content in 2020
https://variety.com/2020/digital/news/netflix-2020-content-spending-17-billion-1203469237/