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5G対応スマホは売れるのか?たくさん売れる理由と懸念点

台湾の大手半導体製造ファウンドリ、 TSMC(台湾積体電路製造 )は、今年3億台の5Gスマートフォンが出荷されると予測を立てました。年始めにゴールドマンサックスが出した「2億台」を更に上回る、大胆な数字です。

同社のアナリストは、Appleだけで8000万台の5Gスマートフォンを売ることになると予測しています。
なお、2019年だけでHuaweiは690万台、Samsungは670万台の5Gスマホを販売しているため、ありえない数字とは言えません。

多くのスマートフォンメーカーが5Gを売りにしてくることが考えられます。iPhoneやGalaxyには間違いなく入ってくるでしょうし、Huawei、Xiaomi、Oppo、LG等にも組み込まれる予想です。

そして買い換えるだけの需要も、また存在すると思います。
現時点でいくつか売れると判断できる理由がありますので、それを取り上げてみましょう。

半導体の進化

一気にこれだけ売れるのは、半導体の事情も関係しています。
Snapdragon 765G、Exynos 980、MediaTek Dimensity 800等の、安価で高性能なチップセットが出現したため、ミドルシップのスマートフォンも軒並みモデルチェンジされるのです。

日本人はiPhoneを使っている人が多いため、チップセットを気にすることはあまりないかもしれません。
しかし、今までハイエンドスマホと呼ばれていた性能を安価で出せるとしたら?
HUAWEIやOPPO等の低価格スマートフォンも、新モデルで攻勢を掛けてきます。
たとえ5Gに興味がなかったとしても、買い換える魅力はあるでしょう。

5Gを意図したコンテンツの出現

クラウドゲーミング

例えば「Google STADIA」

これまでハイエンドゲームを楽しむには、高い据え置き機を買い、ゲームを長時間掛けてダウンロード、もしくはソフトを購入、また長い時間を掛けてインストールして…という手間が必要でした。
わくわくする時間でもありますが、その分足が遠のいている人がいるのも事実です。

しかし「Google STADIA」は、クラウド接続のゲームプラットフォームです。
もう高いゲーム機や、高性能なPCを用意する必要はありません。
手元の端末に、長時間かけてインストールする必要もありません。
Googleのサーバ内でゲームを処理し、画面と操作だけをネットワークでやり取りするのです。

これはただインストールの手間と時間が省ける、という以上の意味があります。
Youtuberが知らないゲームの実況をしている → 見ていたらプレイしたくなってきた → 待つことなくすぐにプレイ
ということができるのです。

これまでゲーム機を並んで買っていた親御さんも、子どもが持っているスマートフォンに、サブすクリプションでゲームプラットフォームのアプリを契約するだけですむことになるでしょう。
となると、子どもたちはもちろん5G対応スマートフォンを欲しがりますね。
もちろん、ゲーム会社がどの程度乗ってくるのか、という懸念もありますが、5G端末が売れる一つの要因としてはあげられるでしょう。

WEBコンテンツがサイズを気にしなくなる

5G不要論を上げている人の意見で、よく「4Gで別に困ってない」という理由が挙げられます。
たしかに4Gでもそれなりに早くコンテンツが表示され、日常でそこまでストレスを感じることがないかもしれません。
しかしそこには「ストレスを感じないように数々の工夫」がなされているのです。

例えば画像ファイルの軽量化。
写真をSNSにアップロードする際、見た目はそこまで変化していないと感じるかもしれませんが、アップロードするたびに画像の軽量化が限界まで図られています。
「SNSでしょっちゅう回ってくる画像」が、やたらノイズの入った低画質なものなのは、軽量化を繰り返してしまったからです。

他にもあなたが見ているウェブサイトも、限界までファイルサイズを軽くするために数々の努力や、デザインの検討が行われています。

しかし5Gがスタートして、そこそこ普及してくると、「軽量化」よりも「高品質」なことを企業は重視し始めます。なぜなら、それが顧客の要望に叶えることになるからです。
そうなると、4Gでしか通信できな場合、ストレスを感じることでしょう。
もちろん、超メジャーなプラットフォームなら、4Gにも配慮した軽量化がされているかもしれません。
ただし、ホームページの制作会社が先進的でインパクトあるコンテンツを出したい、となったら…? 5Gの有意性をバリバリ使ったコンテンツを出すことでしょう。私でもそうします。

懸念点:中国がコロナウイルスからいつ復旧するか

しかしながら、現状懸念点があるのも事実です。
半導体や部品の多くは中国で作られます。それは中国メーカーだけでなくiPhone等でも同じことです。
コロナウイルスが中国で猛威を奮っている今、生産性の低下は避けられません。

実際問題、アップルは売上高予想について「達成できない見込みだ」と発表しています。

これがどの程度の期間まで影響を及ぼすか、まだ誰もわかっていません。
しかしながら、中国に頼り切っていた低コスト生産を、今後は東南アジア等の他の国に移していく流れができるかもしれません。
そうなった場合は、インフラ設備の開発にまた時間がかかってしまいます。

早い自体の収束を望みます。

Published by
安藤隆史
Tags: コロナ