コロナウイルスが5Gの普及を遅らせる可能性

皆さんお待ちかねの5Gですが、コロナウイルスの影響でその普及は遅れるかもしれません。

まずもってコロナ最大の被害国は中国です。現在中国の経済はあらゆる面で活動が停滞しています。
中国の工場は5Gにおいてなくてはならない存在ですが、現在中国各地で、工場の休止や春節後の稼働延期が行われています。
地域ごとの移動が制限されているせいで、工場の作業員が移動したまま戻ってこれなくなっていたり、取引先が休業していたりと混乱が起きています。

また物流への影響も深刻です。
先と同じ理由でドライバーが少なくなっており、そのせいで港に荷物がパンク状態になってしまっています。
天津や上海の港には、これ以上の受け入れが難しく、別の港に行き先変更を求められるケースが起きているとのことです。
そうなると、工場の稼働やその後の物流にも、大きな影響が出てきます。

更に、中国に対する危機感も多くの国が感じています。
武漢での大流行は、現地医療体制の貧弱さも一つの要因として挙げられました。
もちろん急ピッチで病院を新規設立してしまうパワーはあるのですが、武漢近くの地方都市は未だに医療体制がおざなりな事実もあります。
そう考えた場合、インフラ設備を果たして中国に任せて良いものなのかどうか、リスクを加味しなければなりません。

事実、インドは今後5Gに関わる電波オークションが予定されているのですが、その時期を遅らせる決定をするべきではないか、との疑問が沸き立っています。
HUAWEI等の中国メーカーが今後どうなるのか、誰にもわからないからです。

そして、事は中国だけに及びません。
多くの電子機器は、中国以外でも、近辺の東南アジアで製造されています。

中国の物流が停滞してしまっているため、その影響を東南アジアがもろに受けているのです。
世知辛い話ですが、東南アジアには中国や日本程の資金力がありません。
打てる対応策や、国の補助にも限界があります。中国経済が弱るとき、真っ先に影響が出るのは東南アジアでしょう。
そうなると、5G機器やスマートフォンの出荷に影響がでることは避けられません。

また、今後東南アジア各国でコロナウイルスが蔓延する可能性もあります。
現状目立つ形で流行ってはいないように見えますが、そもそも検査自体が難しい病気です。
高温多湿に弱いウイルスですので、そこまで悲観する必要もないかもしれませんが、影響がどの程度でてくるのか、まだ誰も理解できていません。

もちろんそれは日本も同じことですね。
オフィスではテレワークが進められていますが、工場では出社しなければ仕事になりません。
集団感染による一時閉鎖や、人手不足による出荷の遅れ等が出てくるかもしれません。

また、中国からの出荷にも影響は出ているはずです。
もしウイルスとの戦いが長期戦になってしまう場合は、これからどんどん不景気なニュースが報道されるでしょう。
そのぐらい、経済面でのダメージが深刻です。

ただし、5Gが役に立ってもいる。

しかし、ネガティブなニュースばかりでもありません。
中国にとっては未曾有の危機ですが、早速5Gが役に立っています。

例えば、「湖北モバイル」は「武漢南山中医門診部」(武漢の大きな病院)に5G回線を敷設するためサポートしています。
これにより病院内を超高速回線が走り、高速のデータアクセス・リモートコンサル・リモートモニタリング等が積極的に行われているとのことです。

……勝手な妄想ですが、日本の接続会社がこれやろうとしたら、「邪魔するな」と叩き出されそうですよね。
ある種この動きの速さは尊敬します。

他にもHuawei等が湖北保健医療委員会のビデオ会議システム等をサポートしているとのことです。

もし中国で5Gの有意性が実証されたなら、逆に普及は早まる可能性も無いとは言えません。

いち早く自体が終息し、医療面でも経済面でも、ダメージが小さく済むよう祈ります。

Published by
安藤隆史