突然ですが、皆さんがお勤めの会社にはWebサイトがありますか?
「何を当たり前のことを聞いているんだ」と思われたかもしれませんが、実は、ウェブサイトを持っていない企業は、まだまだたくさんあるのです。
今回は、とある会社の人事担当者の悩みをもとに、企業がWebサイト(コーポレートサイト )を持つことの重要性を考えたいと思います。なお、今回の事例は実際のものを脚色しています。ご了承ください。
A社は、設立2年目のコンサルティング会社です。複数企業との太いパイプを持ち、業界で確実に実績を積み重ねてきたA社への依頼は絶えず、依頼を断らなければならないケースが増えていました。
経営陣としては、もらった依頼はできるだけ断らずに全て受けたいと思っており、社長も積極的に現場に出て対応しながら、なんとか依頼をこなしていました。しかし、とうとう手が回らなくなってしまったA社の社長は、人事担当者(Bさん)に採用活動をするよう指示を出しました。
すぐに採用活動を始めたBさんでしたが、思うように人が集まりません。「気になる」といった反応はあるものの応募に至らないケースがとても多かったのです。
そこで、Bさんは求人メディアの営業担当者に原因を聞いてみました。すると、Bさんにとって意外な答えが返ってきました。それは、「会社のWebサイトがないため、応募を渋っている人が多いのではないか」ということでした。営業担当者によると、「バイトにしても正社員にしても、必ず会社のWebサイトを調べることが当たり前の時代に、Webサイトがないことはとても不利であり、良い人材を逃してしまっているのではないか…」というのです。
また、応募者との面接では、「Webサイトがなかったので、どんな企業かわからず不安でした。何か騙されてしまうのではないかと…」といった声もありました。
Bさんは、すぐに社長にWebサイトを作ることを提案しました。ですが、社長はなかなかO Kを出しません。一つのサイトを作ろうと思うと数十万円から数百万円かかってしまいます。そのことがネックとなり、社長は首を縦に振ろうとしなかったのです。
また、Webサイトは会社経営に欠かせないものと分かってはいるものの、社長が考える企業の優先度として、Webサイトはあまり高くないようでした。しかし、人材を確保するためにはWebサイトが必須であると考えていたBさんは、引き下がることなく説得を続けました。
Webサイトは会社を経営していく上で必須のもの。Webサイトがあるかないかで会社の評価は大きく変わり、Webサイトがないというだけで会社の存在自体を怪しむ人がたくさんいるのが現実です。
Bさんは、採用サイトだけでも良いからと、何度も社長を説得してなんとか予算を出してもらうことができ、サイト制作の許可を得ました。実際にサイトが出来上がると求人の応募も増え、なんとか人材補強をすることに成功したようでした。Webサイトが完成したことで求人応募が増え、今まで断っていた依頼を受けられるようになったことで、Webサイトにかけた費用を回収できた社長は、「もっと早くWebサイトを作るべきだった」と後悔していたそうです。
企業でも個人商店でも、Webサイトを持っていることが当たり前の時代ですが、まだまだWebサイトが無いところはたくさんあります。その多くはWebサイトに重要性を感じていなかったり、昔ながらの地域に根付いたお店であるために必要性を感じていなかったりするようです。ただ、お店の世代が変わっていくことでWebサイトに対する認識は変わります。Webサイトがあれば、24時間365日最新の情報を不特定多数に周知することができますし、情報の発信スタイルは自由自在ですから、それぞれにあった効果的な宣伝を行うことができます。また、Webサイトがあれば、ネット通販を行うことも可能です。通販を可能にすれば、自社の商品を手にとれる人が世界規模で増えるといっても過言ではありません。何より、Webサイトは企業や商店の信頼性に直結します。これらのことを考えると、各企業や商店にとっては避けて通れない道となります。
ありがたいことに、海外から日本に来る旅行客は絶えません。その旅行客が、事前に情報を集めるために見るものはなんでしょうか?全員がガイドブックだけをみて旅行をすることは、おそらくありません。そう、多くの人はインターネットでキーワード検索を行い、Webサイトを閲覧するのです。その時、Webサイトを持たない企業や商店は、持っているところと同じ土俵に立つことすらできません。
では、実際にWebサイトを作ろうと考えたとき、まずは何から始めれば良いのでしょうか。Webサイトにはいろいろな形式があります。デザインも様々ですし、予算もピンからキリまで、Webサイトの理想を求めれば求めるだけそれは大きなものになります。ただ、本当にシンプルでいい、簡単なサイトでいいから予算を低くしたいと思われるのなら、WordPressを活用したサイト制作がおすすめです。情報の更新がとても楽で、誰でも無理なく情報を発信することができますし、サイト制作の費用もそこまで掛からないことが多いです。
サイトの内容(コンテンツ)も、他のWebサイトのコンテンツを真似してしまって問題ありません。大切なのは、どんな人にとってもみやすいデザインであることと、しっかりと企業や商店が持っている思い(理念)を表現して伝えることです。最新の技術などを活用した、かっこいい、お洒落なサイトにしなければならないことは決してありません。コンテンツの形よりも中身にこだわりましょう。
今まで、Webサイトは必要不可欠なもの…というお話をしてきました。しかし、業界によってはWebサイトを持つ必要がないと思いがちな業界があります。それは、飲食や美容業界です。予約サイトなどが発展し、そういったサイトに登録すればお客さんが来てくるような業界やお店にとっては、自分のwebサイトを構築するお金をそういったサイトに回したいと思うのは当然のことでしょう。ただ、予約サイトに載せられる情報は限られていますし、更新も手間がかかります。予約などの受けやすさは良いのでしょうが、やはり、ちゃんとした情報を伝えていくのならば、予約サイトとは別にWebサイトを持つべきです。
今回は、ある企業の事例を紹介しながらWebサイトを持つことの大切さをお話ししてきました。Webサイトを持つことで、その企業や商店の世界は大きく広がります。今回の事例としてあげたA社は、サイトを開設したことで業界とのネットワークが今まで以上に広がりました。また、求人を出すたびに応募が殺到し、どんどん社員数も増えていると聞きます。Webサイトを作るとなると、どうしてもお金はかかってしまうものです。ですが、そのかかった費用をちゃんと取り戻せるほど、Webサイトを作ることに効果はあると言えます。世界を相手にビジネスを展開する企業だろうが、昔から地元に根付いて商売をする商店だろうが、Webサイトを持つことの重要性は変わりません。それに、経営規模では歯が立たない相手だとしても、Webサイト上では対等に渡り合えるかもしれません。いや、もしかすると勝てるかもしれません。Webサイトは会社にとってネットワーク上の顔です。それに武器にもなりうるのです。
まだWebサイトを持っていない企業や商店の皆さん、もう一度、Webサイトのこと考えてみませんか?