韓国、経済危機 コロナ封じ込めに成功しつつある中、未だ景気悪化は回復せず

韓国は、コロナウイルスの封じ込めに成功しつつある、稀有な国の一つです。
19日の新型コロナウイルス新規感染者は8人で、2月後半並の低い数値です。
経済活動再開も視野に入れており、教会やスポーツイベントへ掛けられていた集会制限を5月初めには解くかもしれないとのことです。

欧米で多くの人が亡くなっている中、このまま封じ込めに成功すれば、世界的にみてもかなりの成功例といえます。
個人情報よりも徹底した経路調査という政策の結果なので、正直日本が同じ路線を取ることは難しいかと思いますが、人類が対コロナに打ち勝つ上のモデルケースとして一つの成果になりました。

経済に残る大きな傷跡

しかし韓国はこれから経済危機と戦う必要があります。
韓国銀行の発表によると、2020年第1四半期のGDPは、前期に比べ1.4%縮小しました。これはここ10年で最悪の数値です。
単純に韓国国内の多くの経済活動が停滞したこともありますが、韓国経済の仕組みも関係しています。

韓国経済はその多くが輸出等の貿易に頼っているのです。
2018年の6,049億ドル、GNIに占める輸出額の割合は45.9%にも登ります。
そんななか世界中がコロナ禍に飲まれ、多くの貿易が停滞しました。
4月1～20日の貿易データでは、前年比27%、輸出が減少したとのことです。

韓国がコロナ禍を克服し、経済活動を再開したとしても、他の多くの国が経済活動を再開しなければ、商品の買い手が見つからないことになります。
これは大きな痛手です。

依然、驚異となる通貨危機

また通貨であるウォンについても問題があります。
そもそもコロナ前から、ウォンについては問題となっていました。
日韓関係の悪化や中国経済発展の減速、国内の失業率問題等により、ウォンの信頼性が薄れてきていたのです。
更に追い打ちをかけるようにコロナウイルスの問題が噴出しました。
韓国はサムスンの輸出や、造船業等により成長してきた国です。先程も述べたとおり、輸出が滞れば経済にダイレクトな打撃が加わりますし、この世界的大不況で、海外投資家が軒並み資本逃避を行いました。

その結果、韓国の外貨準備高は、4月末で89億6000万ドル減少しました。
こちらリーマンショック以来最悪の数値です。

更にここにきて金正恩市の「重病説」という大きな火種が飛び込んできました。
韓国・北朝鮮の間に緊張が走ったり、朝鮮戦争再開を危惧した為替市場では、一次18ウォン以上のウォン安となりました。

通常こういった通貨危機の場合は、多くの国と通貨スワップを要請することで解決を図ります。
韓国は中国、カナダ等の7カ国と通貨スワップ協定を結んでいるため、今すぐ破綻することは有りませんが、基軸通貨である円との通貨スワップは、日韓関係の悪化や国民感情から難しいかもしれません。

世界の発展が必要

韓国経済は、近年目覚ましい発展を見せてきましたが、それは成長するために最適化を行ってきた結果です。
例えば不安定な中小企業よりも、財閥に資金を集中し、世界に対抗できるだけのメーカーを作ることに注力してきました。
確かにサムスンの携帯等は、世界市場において一定の立場を築いています。

しかしここにきて世界が変革しようとしています。
グローバル化・シティ化こそが正義、と突き進んでいた中、突然国内生産や、ローカル化が是とされる世界になったのです。
多くの国がダメージを受けていますが、とりわけ韓国にとっては不幸でした。

これからの韓国経済の見通しについては、正直なんとも言えません。
これまで外国との貿易に依存してきた以上、コロナウイルスが世界でどう解決するのか、そして多くの国がどのように舵を取るのか、そこに掛かってくるからです。
少なくとも中国・アメリカがどうなり、どう舵を取るかに大きく影響されるでしょう。

そして近隣国である日本もそこから影響を受けます。
近年は緊張感高まる両国ですが、経済的なつながりは決して小さくありません。
世界が変化し、状況が大きく揺れ動く中、これまで以上に注視していく必要があるかと思います。