コロナ後にビットコインは高騰しますか?財政破綻と仮想通貨の役割

コロナショックが起きた結果、あらゆる金融資産が大きく値動きしました。
一番顕著なのは原油です。飛行機も車も工場も動かなくなった結果、先日は先物取引でマイナス値を記録しました。歴史的な価格です。
日経平均株価や、NASDAQも大きく値下がりしました。急落後、半分ほどは持ち直しているようですが、まだまだ回復までの道のりは遠いでしょう。

そしてその中で、注目すべき資産があります。仮想通貨です。

3月12日の暴落

仮想通貨が一般に認知され、バブルとなったのは2017年のことでした。
いくつかイベントはありましたが、仮想通貨が流行りだしてから今回が初めての「大恐慌」です。

大恐慌時のビットコイン値動きについては、いくつか予想が立てられていました。
1.リスク回避する人が多く、暴落する
2.安全資産としての避難所となり暴騰する

1に関しては、ある意味当たりました。3月12日、ビットコインはわずか20%の間に15%もの下落をみせました。
どちらかというと2を期待していた人が多かったようですが、WHOのパンデミック宣言に反応するかのように、下落を見せました。

これはある程度説明できます。ビットコインを保有しているトレーダーの何割かは、他にも金融資産を所持しています。株であったりFXであったり先物取引であったりです。
しかしながら、暴落時それらのポジションの補填や、資産の保護を行うため、手仕舞いすることが多いのです。

多少値は戻りました。90ドルから50ドルまで落ちた1BTCの価格は、現在75ドルです。
しかし残念ながらビットコインは金ほど安全資産とはならなかったようです。
(金も3月12日に暴落しましたが、今では暴落前より高くなっています)

ところがです、ビットコインの真価はこれから問われるのかもしれません。

「国家破綻」時のビットコイン

国家はどうやって破綻するか

ビットコインがこれから期待されるかもしれない理由、それは「国家の破綻」です。

なお現時点では、まだコロナショックによる国家破綻は起きていません。
ではこれからも起きないのでは?株価は最悪の時より少し戻しているぞ?等と思うかもしれません。
しかし多くの場合、倒産・銀行の破綻・国家の破綻は、最初の衝撃より後からやってくるのです。

例えばコロナ不況と呼ばれている今(4月24日)、倒産した企業はどのぐらいあるでしょうか。
東京商工リサーチによると、コロナ不況による倒産は56件に達しています。
多いと思われましたか?
しかし2018年の企業倒産件数は8,325件です。なにもなくてもそのぐらいの企業は倒産するのです。それに56件が加わったところで、そこまで多くないな、と思われたのではないでしょうか。

問題は数カ月後です。
例えば今大きなダメージを受けている飲食店。今はまだ倒産する企業もそこまで多くないでしょう。しかし来月の家賃を払えない店舗は少なからずあるかもしれません。
これが休業要請がかかったままの場合、2ヶ月後・3ヶ月後には?もっと数多くの企業が倒産することでしょう。
悲観的なことをいうのはよく有りませんが、残念ながらもはや「予測されてる事実」です

そして次にダメージを受けるのが銀行です。
銀行は多くの企業に貸付をおこなっています。もちろん倒産した企業にも、少なからず資金を融資しているはずです。通常銀行は、その利息から利益を得ますが、多くの企業が倒産してしまうと、大手銀行ですら破綻します。

しかし大手銀行の場合、通常は国からの救済措置が取られます。
潰すと多くの人が困るからです。あのリーマンショックでさえ、多くの資金が投入され、潰れた銀行は投資銀行を含めてもごく少数にとどまりました。

しかしそれにも限界があります。国家が支えきれない場合です。
国家には、銀行より更に身を守る術があります。
「国債」や「通貨」の発行です。
これは国の信用・通貨の信用を使うことになるので、そう簡単には破綻しません。しかし、無限に使えるわけでも有りません。
国債を払いきれなくなれば、国は通貨を発行せざるを得なくなり、更に発行しすぎた通貨はインフレが進み、外貨建の借金を返せなくなるのです。

国の破綻はこのような道をたどり着いた先に待っている結果です。
コロナによる全世界不況が起きていますが、すぐさま国が破綻するようなことはありません。
しかし、あまり資金力がなく、コロナ禍前すでに資金不足にあえいでいたような国は、正直この後どうなるかわかりません。
例えばリーマンショックの際も、ギリシャ危機が起きたのは2年後でした。
しかも、ギリシャ危機の際はEUや周りの国が補填することで生き延びましたが、コロナ不況は全世界が不況に陥るという、大戦以来の世界的な危機的イベントです。

なので、今破綻している国が無いとしても、なんの保証にもなっていないのです。

仮想通貨は資産を「逃がす」ことにとても向いている

長くなりましたが、その「起こり得る国家破綻」の際、資金を国外に持ち出すことに一番向いているのは「仮想通貨」です。

破綻しそうな国や、規制の厳しい国では、資金の国外への持ち出しは厳しく制限されます。
例えば2013年の欧州危機、キプロスでは預金封鎖が行われました。
税率が低かったキプロス(タックスヘイブン)では、多くの富裕層が資産を置いておいていました。その資産をキプロス銀行はギリシャ国債で運用しました。
しかしそこで明るみになったギリシャの財政危機です。キプロス銀行は富豪たちからの預金が大きく目減りしていることに気づいたのです。
一大事です。なんとかしなければいけませんが、無い袖は振れません。
しかも多くの富豪が資産を逃がすため、必死になって国外に資産を逃がそうとしています。
そこでキプロスは一つの策を出しました。
小切手現金化の禁止、および国外に出せる現金の額に上限を設ける等の策です。

多くの大富豪が慌てました。自分たちの資産をどうにか逃さなければ、価値はどんどん失われていくのです。
こういった恐慌時、避難先に選ばれるのは金が多いですが、金は持ち運びにくく、膨大な関税が掛けられます。
しかし合法的に、スマートに、関税すら払うことなく預金を持ち出した人達もいました。
ビットコインで預金を逃した人々です。

ビットコインには形がありません。あくまで実態はデジタルデータでしかありません。しかも公開鍵と秘密鍵の2つさえあれば、世界中のどこででも自分の資産を手にすることができるのです。
国外に資産を逃がすに当たって、これ以上無いほど有用な道具ではないでしょうか。
まだ仮想通貨の存在を多くの人が知らない時代、1万5千円程度で推移していたビットコインは、2013年11月、一時は10万円を超える値となりました。
この値を更新するのは、4年後2017年バブルの年になりました。

「キプロス高騰」は「コロナ禍」により再来するのか?

ではビットコインがこれから高騰するのか、それはまだわかりません。
コロナウイルスそのものについても、それから起きる経済的影響に付いても、まだまったくわかっていないことが多すぎるのです。

更に日本を含むGDP上位の国や、基軸通貨の発行権利をもつ国が、どのような政策を行うかによっても変わります。
これらの国の政策は、経済力が貧しい国のGDPを簡単に超えてしまうからです。
(例えば国連の出した発展途上国の債務取り消しに必要な額は「107兆円」と報告されています。 つまりこの額があれば多くの途上国を救う事ができるわけですが、日本政府が出した緊急経済対策費用は108兆円を超えます)

しかし貧しい国でも、豊かな国でもウイルスによる被害は区別されていません。
どちらも不況にあえいでる今、複数の国が財政破綻したとしても、まったく不思議ではありません。

そしてその破綻から逃れるために、仮想通貨が使われることも十分にありえることです。
例えばインドではすでに国内4位の「イエス銀行」が破綻しました。すでに引き出し制限も起きており、預金者は5万ルピー(7万円)までしか引き出すことができません。
インドではちょうど3月初めにビットコイン取引の規制が解けたこともあり、多くの資産がビットコインに流れているとのことです。

更に値上がりを期待する人には追い風になるニュースがあります。
ビットコインの半減期が5月に到来するのです。
ビットコインは「採掘」によりその枚数が増えますが、一定枚数ごとに採掘報酬が半減することになっているのです。
供給が減れば、もちろんそれだけ価値は上がります。もちろん相場に参加している人達はこれらを織り込んだ上で取引を行っていますが、前向きな材料の一つとして捉えるのはよいでしょう。

といっても、まだ、まだわかりません。
多くの国が金融対策をうまく行い、なんのことはなく解決するのかもしれません。
避難先は仮想通貨ではなく、もっと堅実なゴールドになるのかもしれません。
いきなり仮想通貨が法規制されて、引き出せなくなることも有りえます。
しかしそれと同じか、それ以上に、ビットコインが値上がりする材料が揃っていることも事実です。

そもそも、100年に1度、ひょっとしたらそれ以上に世界が大きく揺り動く瞬間を私達は目にしている訳です。
もしあなたが金融・経済に関わっている人なら、仮想通貨から目を離さないでいる必要は当然あるでしょう。
これからも注意深く動向を気にされるようおすすめします。

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  • 記事に補足を入れると、日本の武漢コロナ肺炎への経済対策108兆円は世界に救済頑張ってるとアピールする為の見せ金で、本当の救済は実質2、3割。あとの7割程、約70兆円はただの融資枠です。営業出来ない人に対してカネを貸してやる、という事で、借りたカネは働けないのにいつか返済しないといけません。こんなもんは救済でも何でもありません。あと、国債刷りまくるとインフレが起きる、と書いてますが、インフレは先進国なら2%、後進国なら5%起こるくらいが良い感じの経済成長と言われます。経済は過去の歴史を振り返って判断材料にする学問の為、過去の歴史が根拠です。日本はマイナス成長のデフレ不況なので、現時点でインフレはむしろ起こすべき状況です。その目安は国債発行200兆円です。ところが日銀は何故か80兆円を上限枠にしている為、日本で好景気は起こらない仕組みとなっています。おそらく日銀のエライ人は日本人が嫌いなんでしょう。しかし今はそんなこだわりが不要です。発行枠を撤廃するように日銀に文句を言う事が、与野党全ての政治家に動くように意見をいう事が、自分の事を、家族の事を、日本人全てを救う行動です。その上でのビットコインです。そもそも世界中の動きが止まってしまってるので、まず武漢肺炎をどうするかを注視すべきでしょう。

Published by
安藤隆史