ベイン・アンド・カンパニーの調査によると、世界の高級品市場は、コロナウイルスにより35%もの売上減少を記録しました。
2019年に記録した高級品市場の売上高は2,810億ユーロでしたが、今年は1,890億ユーロから2,200ユーロの間と予測されています。
(参照:https://libn.com/2020/05/07/global-luxury-goods-sales-collapse/?ep=1)(英語)
同社の予測では、2019年の規模に戻るために、少なくとも2~3年が必要だろう、と書かれています。
しかしながら、いくつかのブランドはその時間を耐え抜くことができないでしょう。もう少し時間が経つと、資金の枯渇するブランドがでてきます。合併や買収等が多く見られるかもしれません。
ただでさえ致命的な打撃を受けているデパート産業には、大きな痛手です。
原因は複数あります。一つは単純に非常時で消費が冷え込んでいることです。
そもそも多くの国で高級品を扱うお店は、ロックダウンの閉鎖対象になっています。
それに未曾有の疫病が流行り、非常事態が宣言されている中、ブランド品を買いたいと考える人はあまり多くないでしょう。ずっと家にいるにも関わらず、20万円の鞄を買おうとは思いません。
更に、高級品を生産する工場が閉鎖になっています。
世界の高級品の40%はイタリアで生産されていますが、現在イタリアの全ての工場が一時的に閉鎖されています。
例えオンラインでの販売や料金の値下げを行ったとしても、物がなければ売上を増やすことはできません。
そしてイタリアは現在被害が特にひどい地域の一つです。今後の情勢によっては、高級品の製造プロセス自体が変わるかもしれません。
他にも、中国からの旅行者がいなくなりました。一説によると業界の収益の内、20~30%は、自国以外で高級品を購入する旅行者によって生み出されます。
特に中国人旅行者の間で、現地のブランドを購入することは一つのイベントになっていました。
コロナウイルスによるあらゆる影響は、残念ながら数ヶ月で解決するものではありません。
旅行業界が形を変えるように、高級品市場もその形が大きく変化するのかもしれません。
今は高級品が売れなくなっても何も困らない、と考えるかもしれませんが、多くの高級品も、生産者を遡れば貧しい国で材料が生産されていることも少なくありません。社会の変化に合わせた多少の新陳代謝は必要ですが、それによる犠牲者はなるだけ少ないほうが好ましいでしょう。
withコロナ下にあっても、経済活動を以前と変わらないぐらい活発に廻す。そんな策が今求められています。