電力コストはどの国でも頭を悩ます問題ですが、ウクライナは特殊な方法で切り抜けようとしています。
原子力発電で余った電力で、仮想通貨のマイニングを行おうとしているのです。
ウクライナでは、コロナウイルスの感染拡大防止の為、多くの企業や工場が閉鎖されています。そのため電力が余ってしまっているのです(ということになっています)
しかし発電所で度々問題になる点ですが、余った電力を貯めておくことはかなり難しい課題です。蓄電池等ではとてもコストや備蓄量が割に合いません。不思議な話ですが、まだ瓦礫を電気クレーンで上げ下げするほうが、コストに見合ってしまいます。
しかし必要とされていない時間の余剰電力を、お金に変える方法が存在します。
それが仮想通貨のマイニングです。
仮想通貨に詳しくない方にはこれも不思議な話かもしれませんが、多くの仮想通貨では、計算式を解くことで報酬が手に入ります。しかしその計算にはもちろん電力が必要なので、多くの場合電力価格との戦いになります。
仮想通貨バブル期には、電力の安い国で大量のマイニング工場が乱立しました。特に中国では、田舎の方で石炭を燃やして発電したほどです。
それを発電所レベルで行うことで、利益をあげようという試みが、今回のウクライナが検討している案です。
しかし問題も数多く存在しています。
そもそも数週間前まで、コロナウイルスによりウクライナで電力が足りなくなるかも、というニュースが流れていたのです。火力発電の原料になる石油や天然ガスの費用が払えないためです。
しかし今度は一転して「コロナウイルスにより電力が余っている」とのニュースが流れました。市民は混乱しています。
また、マイニングからの報酬がどれほど安定して得られるかも不明です。
マイニングはエネルギーだけではできません。マイニング用の機械や、グラフィックボード等が必要になります。それらを初期投資で確保しなければなりません。
しかしながら、仮想通貨の費用は流動的です。それらを多額で購入した次の月に、仮想通貨が暴落するかもしれません。
また、ビットコインには半減期が迫っています。マイニングで得られる報酬が少なくなるのです。
その分ビットコイン自体の価値が上がるならば問題ないのですが、暴落する説も上がっています。そして未来は誰も知りません。
これまで政府がマイニングを行ってきた国はありません。今あげたようなリスクがあり、不安定すぎるからです。
しかしながら、実際にマイニングで利益をあげている企業や集団があるのも事実です。
ウクライナはエネルギー問題で多くの血が流れてきた国でもあります。チェルノブイリ原発による被害や、ロシアとの天然ガス問題等、大きな悲劇が起きました。
今回の検討がウクライナにとってどのような結果をもたらすのか、市民が注目しています。
参照:https://coinidol.com/ukraine-cryptocurrency-mining/