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コロナ後にベビーブームは来ないかもしれない

数々の悪影響を生み出したコロナウイルスですが、それと戦う試みにおいて、すこしだけ良い点も見いだされたことは確かです。
その中に取り上げられている点として、外出自粛のせいで「ベビーブーム」がくるのではないか…という点がありました。

実際いくつかの国で、外出自粛要請後にコンドームの需要が増加していることが確認されています。
しかしながら、ヨーロッパ等の先進国では、そのような「ベビーブーム」は怒らない可能性が高い、とイタリアの学者は研究の中で説明しています。

多くの夫婦が子どもを作ることを先延ばしに

調査はヨーロッパ各国で、3月の最終週から4月の最初の週の間に、18歳~34歳の若者を相手にして行われました。
まずフランス・ドイツでは50%が”子作り”を先延ばしにしています。またスペインでは同じく50%が”子作り”を先延ばしに、そして30%は放棄(子供を作らない方針)にしているとのことです。
イギリスでは子供を持つ計画を先延ばしにしている人が58%、放棄を選んだ人は19%に及びます。

いずれにせよ積極的に子供を作ろうとする傾向は、調査対象となって国ではどこにも見当たりませんでした。

(ただし、各国意識の変化具合はそれぞれ違いました。日本では医療崩壊が起こりませんでしたので、ベビーブームが起こらない、とも限りません)

経済的な困窮や医療崩壊で不安になる夫婦が多い

日本でも医療崩壊は危惧されていましたが、ヨーロッパ各国では戦々恐々とした状況です。スペイン等ではひどい時1日900人近い死者が出ました。イギリスではコロナに医療リソースを集中するため、外科部門の医師へコロナ病棟での従事を通達することもありました。
不急の手術は全て延期され、医学生や看護学生も動員されました。

そのような中で、もし出産時にトラブルがあったら?子どもが生まれる時、もっと状況が悪くなったら?と考えるならば、計画を先延ばしにするのも最もと言えます。

また、ヨーロッパ各国では経済的な危機も深刻です。
フランスやイタリアやスペインでは若者の失業率が非常に高く、4月の若年層失業率は20%を超えました。
更に現状では、同居していない祖父母の支援を頼りにすることも難しい状況です。

これらの状況から、多くの先進国で同様の状況が予想され、今まで以上の少子化対策が求められます。

開発途上国では意図せぬ妊娠も

なお途上国では事情が変わってきます。
発展途上国(開発途上国)では、ひょっとしたらベビーブームが起こるかもしれません。ただしまったく喜べない理由です。

国連人口基金(UNFPA)によると、多くの途上国で意図しない妊娠をする女性が増えているとのことです。
それには、コンドームやピル等、避妊具・避妊薬の調達が難しくなっている問題があります。

例えばインドでは外出禁止令が宣言された後、コンドームの売上が1週間で25~35%増加しました。
需要は伸びましたが、供給はむしろ逆です。コンドームメーカーであるマレーシアの「カレックス」社は、コロナウイルスの影響で工場停止に追い込まれているのです。

同機関はもしロックダウンが半年続き、保健医療の崩壊が起きた場合、4700万人の女性が避妊具や避妊薬を入手できなくなり、約700万人が望まない妊娠をする可能性がある、と予測しています。

少子化に望まない妊娠、どちらも深刻な問題です。
すでに緊急事態から脱した日本への影響は、世界各国に比べれば限定的といえますが、その分これらの問題に対して支援できる立場にいると言えます。
国際社会でできることを考える機会になるでしょう。

参照:https://blogs.lse.ac.uk/politicsandpolicy/covid19-baby-boom-bust/(英語)

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