コロナウイルスによる工場等の停止により、一時中国の二酸化炭素排出量は25%低下しました。
これまで世界各国があらゆる訴えを行っても、なし得なかった削減が起きたため、コロナ禍の中で数少ない前向きなニュースとして、しばらく報道されていました。
しかしながらコロナウイルスによる封鎖が解除され、経済活動が再開し始めている今、中国はコロナ前を上回るペースでCO2の排出を行っています。
いくら早期に終息した(とされる)中国でも、コロナ前の生活を完全に戻している訳ではありません。それなのに、なぜ二酸化炭素排出量がここまで伸びているのでしょうか。
その最大の要因は火力発電、およびセメント生産量の伸びにあるといいます。
原子力発電は前年比14%、風力が5%、太陽光は7%、前年度より伸びましたが、水力発電は17%発電量が低下しました。
その分を補うには、非化石燃料の伸びた分では足りなかったのです。
石炭発電を始めとした化石燃料での発電を行い、水力発電の低下分は補填されました。
ちょうど世界中で化石燃料の暴落が起こり、むしろ消費しなければ貯蔵庫が満杯になってしまう問題もあります。
現在中国は、全方位で「攻め」の姿勢を強めています。それほ文字通りすべての方角に向けて侵攻していることもありますし、エネルギー問題・5G・貿易問題・人権問題等、数限りなく世界からの批判にされされている部分もあります。
今回中国が二酸化炭素排出量を増加させたことにより、パリ協定で世界に約束した削減目標の達成(2005年~2020年までに40%~45%の削減)は困難になりました。
しかし全方位の国とトラブルを起こしている今の中国にとっては、そのような協定の破棄は小さな問題なのかもしれません。
実際、問題を起こしているといっても、現在それを糾弾したり、意味のある制裁を加えられる程余裕を持った国があるかと言われると、難しいところです。
コロナ禍で一番大きく変わるのは、「私達の生活」よりも「国際的な関係性」かもしれない、と以前述べましたが、現在の中国が見せている姿勢が世界中に余波をもたらすとすれば、その結果はすぐに判明することになるでしょう。