2020年に世界が変わる要因の一つとして、5Gが挙げられていました。
実際には蓋を明けてみるとコロナによる世界変化が起きてしまったわけですが、しかしながら「5G元年」と呼ばれる変革も、決して取り消されたわけではありません。
もちろん5G基地局の遅れや、iPhoneリリースの延期等、影響が無い訳ではありませんが、むしろコロナによる人々の行動様式の変化に伴って、更に大きな影響を及ぼすかもしれません。
コロナが解決した今、中国は多くの分野で攻める姿勢を見せています。
それは5Gにおいても同様です。
まず中国国内ですが、5G端末が大きな注目を浴びており、今年末には9485万台に達する可能性があるとのことです。
もしこの予想通りなら、全世界の5G端末の74%が中国に集中する形となります。
当然そうなった場合、中国での5Gコンテンツは大きく発展することでしょう。
また、インフラ設備でも中国は先手を打っています。
「新型インフラ整備を促進し、5Gの応用を拡大、新エネルギー自動車を普及させ、新たな需要を換気し、産業のレベルアップを目指す」
この言葉はベンチャー企業の目標ではありません。中国政府の活動報告書で取り上げられている文言です。
実際、中国はもちろん、東南アジアやヨーロッパの一部の国では、中国産の5Gインフラが取り入れられ、攻勢を強めています。コロナにより東南アジアの経済は大きな打撃を受けましたが、中国の策により安価で導入が可能な5Gインフラは、早期に敷設が済むことになるでしょう。
そしてこの話の肝になるのは、米国がその5G普及の動きに対抗している点です。
中国だけが5Gに夢中になっているなら、ここまで大きな話にならなかったかもしれません。
ソ連と米国のライバル関係が宇宙開発を急速に発展させたように、この中国と米国の5G争いも、発展スピードに大きく寄与します。
コロナが未だ終息せず、またBLM問題で大きく混乱が続く米国ですが、歩みを止めたわけではありません。
5Gインフラでファーウェイに対抗するため、米国政府が民間各社へ介入、欧州ネットワーク機器会社の買収や、税制優遇措置等を検討しているとのことです。
もしこれらが実現するのならば、アメリカの国家予算が5Gのために使用されることとなり、5Gインフラのいち早い敷設が期待できます。
また、コロナがかえって5Gを促進する面も無視できません。
コロナによりテレワークが増えましたが、それにより多くの人が「回線のパンク」に苦しめられました。
単純に帯域が足りなかったこともありますし、他同時接続が追いつかなかった面もあります。しかし5Gならこれらの問題が一気に解決します。
また、自宅にいる時間が増えたことで、可処分時間の奪い合いが加速、映像コンテンツの人気から、一時NETFLIX等は動画データの軽量化措置を図るほどでした。5Gはこれら「可処分時間」の取り合いに関するコンテンツには、必要不可欠なインフラです。
更に、電車やバス等の通勤ラッシュが、非常に感染拡大リスクの高い行動であることが示唆されました。
これらの解決のために、自動運転車や配達ドローンの発展が求められています。
残念ながら今回のコロナ流行時には、未発展のため役に立つことができませんでしたが、自動運転車が軌道に乗れば、密を避けた上で、渋滞もおこさずに、多くの人を移動させることができるため、感染リスクを抑えることが可能です。
今、経済的に強く必要とされているものとして「お金の使い先」が挙げられます。
これはただ福祉や、コロナ禍で業績の下がった分野に補填すればいい、という話ではなく、多くの人が「お金を使いたい」と思うような、コンテンツや技術を作る必要があるのです。
血の巡りが悪くなった体には運動が必要なように、社会を「明るく」変革するなにか、それが5Gになるのではないかと思います。
もちろん課題もあります。
単純に5Gインフラ敷設はコロナにより遅れましたし、多くの工場、中小企業がコロナ禍の煽りを受けています。
iPhoneの新製品発表も遅れ、5G対応iPhoneは未だ世に出ていません。
米中の摩擦が強まる中、日本企業がどのように存在感を発揮できるかも、未だ未知数です。
しかしながら、コロナによる一番の経済的ダメージは「停滞すること」でした。
そのコロナを少しずつ対処できている今、更に世界を発展させる技術があり、世界中でそれを競い合っているという構図は、決して悪い状況ではないでしょう。
ぜひ5Gを起爆剤にして、世界中がまたイノベーションの空気を取り戻せるよう、強く願っています。
参照:https://www.cnet.com/news/not-even-the-coronavirus-can-derail-5gs-global-momentum/
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