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【BLM】アメリカの人種差別にまつわる8つの統計 日本人の知らない事実

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今アメリカのニュースは、コロナよりもBLM運動について大きくスペースが割かれています。
それは彼らにとって非常に重要な問題であり、たとえ命の危険を侵してでも訴えたい問題なのでしょう。
しかし私達日本人は、黒人の置かれている状況についてそこまで多くのことを知りません。
「もう差別は禁止されている」「一部の人が差別をしているだけ」といった「ちさな問題」に思えるかもしれませんが、ここ1・2年の統計をみれば、いまだ人種の問題がアメリカには大きく横たわっていることを実感できます。

1.黒人男性は、白人男性より警察に殺害される可能性が2.5倍高い

引用元:https://www.pnas.org/content/116/34/16793

2013年~2018年の統計。10万人あたりの警察により殺害される人数をグラフにしたものです。
人種別に分けられており、白人男性に比べアフリカ系アメリカ人男性の死亡リスクが2.5倍高いことが見て取れます。
なお別の統計では、黒人の住む地域より、白人の住む地域のほうが、黒人が警察により殺害されるリスクが高いことがわかっています。

参照:https://www.pnas.org/content/116/34/16793(英語)

2.NY警察が「呼び止めた」人数のうち黒人は69%、白人は9%(2019年)

日本で言う「職務質問」ですが、ニューヨーク警察が2019年の間に呼び止めて尋問した13,459件のうち、7,981人が黒人でした。
(白人は1,215人のみでした)

なお、そもそもニューヨークの人口構成を人種別に見ると、
非ヒスパニック系白人は33.3%、ヒスパニック系は28.6%となっています。

参照:https://www.nyclu.org/en/stop-and-frisk-data(英語)

3.アメリカの黒人比率は「13%」にもかかわらず、警察による死者の「24%」が黒人

2019年、警察官が殺害した人数のうち、24%が黒人のアメリカ人でした。全人口のうち黒人は13%しかいないのですが、その数値とは乖離しています。
また、これら殺害において99%の警官は刑事責任を問われていません。

州によっては更にひどく、ワシントンDCの黒人人口はほぼ50%ですが、警察による死者の88%が黒人アメリカ人に対するものでした。

参照:https://www.statista.com/chart/21872/map-of-police-violence-against-black-americans/

4.アメリカの殺人件数のうち、半数は黒人犯罪者の犯行※

FBIのデータによると、2017年に起きた9,468件の殺人事件のうち、黒人(もしくはアフリカ系アメリカ人)が引き起こしたものは、5,025件でした。
人口比率13%の黒人が、50%もの殺人事件を引き起こしている。これはたしかに事実です。

このデータはしばしば黒人を差別する理由として取り上げられることがありますが、しかし実際の数について考えなければいけないことがあります。

殺人を行ったのは、米国内13%の黒人ではなく、黒人のうちの0.01%の人数です。
言い換えれば、黒人の99.989497%がその年に殺人を犯さなかったということです。(そして白人の99.994923%も同じです)
この数値を見てなお「黒人は白人の2倍危険だ」という意見を建てるのは無理があります。

これは殺人以外の犯罪をみても同じことが言えます。
黒人の94.6%、白人の95.8%が1年の間警察に逮捕されませんでした。確かに黒人のほうが数値は悪いかもしれませんが、差は1%程度です。このわずかな差から黒人の方をみて特別警戒するのは明らかに不合理でしょう。
参照:https://twitter.com/michaelharriot/status/1268463775633551360?s=20

なお、犯罪率の差について、考えなければいけないことがあります。
後ほど書きますが、黒人の収入は白人の収入より明らかに低いことは、統計で明らかになっています。黒人貧困率は白人の2倍です。
そしてアメリカ司法統計局によれば、貧困基準を下回る世帯の住人は、人種に関係なく高所得者よりも2倍以上の確率で犯罪を犯します。これは世界各国どこでもみられる現象です。

参照:https://ucr.fbi.gov/crime-in-the-u.s/2017/crime-in-the-u.s.-2017/topic-pages/tables/table-43(英語)
https://www.bjs.gov/content/pub/pdf/hpnvv0812.pdf(PDF)

5.新型コロナの死亡率 45-54歳の黒人・ラテン・ヒスパニック系の死亡率は白人の6倍

アメリカは新型コロナの被害がとりわけ多い国の一つですが、コロナウイルスに感染した患者の死亡率でも、人種によって大きな差が生じています。

参照:https://www.brookings.edu/blog/up-front/2020/06/16/race-gaps-in-covid-19-deaths-are-even-bigger-than-they-appear/

もちろん、コロナウイルスについては判明していない点が多々あるため、種族やDNA、生活習慣によっての要因があるかもしれません。

しかし後ほど書きますが、保険加入率の差や、ヘルスケアへのアクセス難易度を考えた時、かならずしも「ウイルスの特性」と言い切れる訳ではなさそうです。

参照:https://www.brookings.edu/blog/up-front/2020/06/16/race-gaps-in-covid-19-deaths-are-even-bigger-than-they-appear/(英語)

6.黒人労働者の収入は、白人労働者の62%に過ぎない

2018年の統計では、平均的な黒人労働者の収入は、白人労働者の平均の62%にしかなりませんでした。
なおこれは歴史的に改善されていない問題であり、黒人労働者の平均収入が、白人労働者の70%を超えたことは、1967年までさかのぼったとしても1度もありません。

またこれは「統計の妙」等ではなく、実際に黒人が白人より貧しい生活を送っていることが数々の統計で割り出されています。
例えば黒人家族の貧困率は、白人家族の貧困率の2倍です。
他にも、白人アメリカ人は黒人アメリカ人の6倍の人口がいますが、保有する資産は17倍もの差があります。

参照:https://www.businessinsider.com/us-systemic-racism-in-charts-graphs-data-2020-6#black-americans-have-historically-been-underrepresented-in-the-highest-echelons-of-government-as-well-4(英語)

7.フォーチューン500のうち、黒人CEOはたったの4人

「フォーチューン500」とは、フォーチューン社が毎年出している企業の総収益ランキングで、上位から500社が掲載されています。

その500社のうち、黒人のCEOを据えている会社はたったの4社です。(そして全て男性です)
もしアメリカの比率に習い、均等にCEOが選出されているならば65人ほどの黒人CEOがいてもおかしくないのですが、残念ながら実際の数値とは大きな差があります。

別の統計では大企業の上級管理職において、黒人の占める割合は3.2%にすぎないとの数値が出ています。

女性の管理職推進と同じく、黒人の管理職推進にもいくつかの取り組みがなされていますが、実情は未だ偏りが激しいようです。

参照:https://www.businessinsider.com/there-are-four-black-fortune-500-ceos-here-they-are-2020-2(英語)

8.黒人の健康保険に加入していない割合は、白人の2倍近い

コロナ禍によりアメリカの問題の一つとして取り上げられた中に、健康保険加入率の問題があります。
日本では風邪を引いた場合、1000円未満、初診でも2000円~3000円程度で治療を受けることができます。
特殊な治療薬や設備を利用する必要があっても、医療費の上限が定められているため、破産することはほぼありません。
しかしアメリカの場合、たとえ治療が必要な体であっても、保険に加入していないばかりに治療を受けられないことがままあります。

2018年に健康保険に加入していない割合は、黒人が9.7%に対し、白人は5.4%でした。

なお以前はもっとひどかったのですが、オバマケアによってここまで数値が狭まりました。
しかしながらトランプ大統領の選挙公約の中にオバマケアの廃止も含まれているため、今後も差が狭まり続けるかどうかはわかりません。

参照:https://www.businessinsider.com/us-systemic-racism-in-charts-graphs-data-2020-6#the-coronavirus-crisis-has-only-exacerbated-an-already-wide-disparity-in-access-to-healthcare-18(英語)

傾いた天秤をどう是正するか

これらの統計から分かる通り、未だアメリカや世界において人種間の格差は開いたままです。
もちろん10年前・20年前に比べればだいぶ状況は改善したと言えますが、数々の取り組みや法整備が進んだ今も、統計で現れるほどの差が存在しています。
統計に出ない部分 – 感情や態度等はもっと如実な差別があるのでしょう。

一人の黒人男性が警察官に取り押さえられた際、首の上に乗られて死亡したことからはじまった「BLM運動」ですが、その根底にはこれまで積もり積もった不満や、2020年でも解決しきれていない人種問題への怒りがあるのでしょう。

確かに略奪や暴力等、看過できない行動に出ているデモ隊もいますが、それらを批判するにはまずこれらの背景を知っておく必要があると思います。

私達は日本というほぼ単一の人種からなる国に住んでいますが、だからこそ、これらの問題について表面上の判断をするのではなく、よく調べ理解を深める必要があります。また、いずれ移民によって国を支えることになった場合、きっと同じ問題にぶつかるのでしょう。

傾いた天秤を真っ直ぐにすることは、まったくもって簡単なことではありません。しかもこの天秤は数百年以上傾いたままです。
逆に傾ければ一見まっすぐになりそうですが、反動が幾度となく起きてきました。かといって、傾いたままでは犠牲者が出続けるばかりです。

この天秤をまっすぐする方法について、人類はまだ学習している最中なのでしょう。いずれこの天秤が真っすぐになると信じて、まずは「知ること」から始めたいと思います。

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 匿名
匿名
3 年 前

殺される黒人は人口13%に対して24%って言うのに殺人率になると黒人の0.01%とか言い出すのただのはぐらかしでしょ

13%で殺人率50%とか残りの87%の国民から見れば犯罪を犯したときに非黒人の6倍近く殺人起こすって言うようなもんだし
黒人の99.989497%と白人の99.994923%をどちらも0.01%で区切って同じにしようとしてるけどきっちり少数点第6位までの数字見たら0.010503と0.005077で2倍以上あるのに2倍危険っていうのは無理があるとか自分に都合の良い事書くのも大概にしたら?

貧困だと犯罪が2倍なのは世界的に統計がーとか書いてるけど法治国家文明社会で自分たちで周囲から認められる様に犯罪率を減らそうみたいな自浄すらせずにただただ差別だ、もっといい立場、金を寄越せって暴動起こすとか金や立場与えても精神が変わらず金や立場のある野蛮人になるだけなの見えてるでしょ

阿蘇山
阿蘇山
3 年 前

殺される黒人は人口13%に対して24%って言うのに殺人率になると黒人の0.01%とか言い出すのただのはぐらかしでしょ

13%で殺人率50%とか残りの87%の国民から見れば犯罪を犯したときに非黒人の6倍近く殺人まで起こすって言うようなもんだし
黒人の99.989497%と白人の99.994923%をどちらも0.01%で区切って同じにしようとしてるけどきっちり少数点第6位までの数字見たら0.010503と0.005077で2倍以上あるのに2倍危険っていうのは無理があるとか自分に都合の良い事書くのも大概にしたら?

貧困だと犯罪が2倍なのは世界的に統計がーとか書いてるけど法治国家文明社会で自分たちで周囲から認められる様に犯罪率を減らそうみたいな自浄すらせずにただただ差別だ、もっといい立場、金を寄越せって暴動起こすとか普通に認めるわけ無いし、金や立場与えても精神が変わらず金や立場のある野蛮人になるだけなの見えてるでしょ

 匿名
匿名
3 年 前

コメントに同意。[4.アメリカの殺人件数・・・]まで読んでて
「え?なんでココだけ比率の考え方変えるの?それなら他の項目も殆ど差がない事になるよね?」って思った。

あと、ラテン・ヒスパニックなどのアジア人のデータも全項目で比較対象として欲しい。

 匿名
匿名
3 年 前

数字遊びで誘導しようとしている馬鹿な記事ですね
結局13%の人種比率で半分の殺人を起こしているのは事実であり、黒人社会の一面であるのに何も変わらないんです

マスゴミって結局ゴミの集まりでしか無いんですよ

 匿名
匿名
3 年 前

数値で示そうとしているのに、根拠となるソースが一次じゃないので信憑性の判断が難しい
4.で初めて出てきた一次ソースであるFBIの数値を見ると殺人や暴力を伴う犯罪の率が逮捕者の白人:黒人比率より明らかに高い事が読み取れたので犯罪に対処する側からするとリスキーな対象である可能性が高いと考えるのは妥当性がある
統計では予断を排除して数値の妥当性や正確性から現状を理解する必要があり、自分の望む結論に合致する数値を探したりすることは論外
逆にこの記事自体が擁護を装ったネガティブキャンペーンである可能性を疑わせる程稚拙に見える

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