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「高齢男性ばかり」と批判の菅内閣。では、他国の政治家は?

安倍晋三氏の持病の悪化により、総理大臣の職を辞したことで、新たな総理大臣と内閣が誕生しました。安倍政権は8年にものぼる長期政権となり、一部では高く評価されています。さて、新しい内閣はどうでしょうか?自民党総裁選に勝利した菅義偉氏を筆頭にした新内閣は、国民から「高齢男性ばかりだ!」と批判されるような構成になっています。その実態はどうなのでしょう。

本記事では、菅新内閣の顔ぶれとその年齢を他国の政治家と比較し、その実態を明らかにしていこうと思います。

菅内閣の顔ぶれと年齢

まずは、新しく発足した菅内閣の顔ぶれとその年齢を確認していきましょう。また、合わせて性別も記載しますので参考にしてみてください。

2020年9月23日現在

役職名前年齢性別
総理大臣菅 義偉71歳
副総理、財務大臣麻生 太郎79歳
総務大臣武田 良太52歳
法務大臣上川 陽子67歳
外務大臣茂木 敏充64歳
文部科学大臣萩生田 光一57歳
厚生労働大臣田村 憲久55歳
農林水産大臣野上 浩太郎53歳
経済産業大臣梶山 弘志64歳
国土交通大臣赤羽 一嘉62歳
環境大臣小泉 進次郎39歳
防衛大臣岸 信夫61歳
内閣官房長官加藤 勝信64歳
復興大臣平沢 勝栄75歳
国家公安委員長小此木 八郎55歳
地方創生担当大臣坂本 哲志69歳
経済担当再生大臣、 新型コロナ対策担当大臣西村 康稔57歳
五輪担当大臣橋本 聖子55歳
行政改革担当大臣河野 太郎57歳
デジタル担当大臣平井 卓也62歳
万博担当大臣井上 信治50歳

こちらが、菅内閣の閣僚一覧です。色付きの部分は、初入閣の方で5名となっています。それ以外は、再任・スライドなど、閣僚経験者がほとんどとなっています。さて、年齢を見ていきましょう。最高年齢は、麻生太郎氏で79歳となっており、最低年齢は小泉進次郎氏で39歳となっています。この二人の年齢差が、40歳もあると考えるとすごいですよね。ちなみに今回、40代の方がいないのも特徴的です。それでは、平均年齢はどうでしょうか?計算してみると60.38歳となり、確かに高齢に感じます。

<高齢者の概念>

ここで、日本の高齢者の概念を確認しておきましょう。日本では、20~64歳までは現役世代と呼ばれ、高齢者と呼ばれるのは65歳以上となります。ちなみに、65~74歳が前期高齢者、75歳以上は後期高齢者となります。したがって、菅内閣をこの定義に当てはめていった時、現役世代16人・前期高齢者3人、後期高齢者が2人となります。このようにしてみると、高齢者という括りでは21人中5人が該当するということになりますね。

一方で、WHO(世界保健機関)の定めによると、65歳以上の人を高齢者としています。

<高年齢者の概念>

さて、先ほどの「高齢者」の概念とは別に「高年齢者」という概念もあります。これは、高年齢者雇用安定法という法律の中で定義される概念です。この場合の高年齢者は、55歳以上の人が該当します。この概念で菅内閣を見ると、21人中17人が高年齢者に該当することになるのです。この法律は、高年齢者の雇用の促進や定年の引き上げなどに関するもので、要するに高年齢者でも社会で働けるようにという考え方を基にしています。つまり、55歳以上の人は本来なら社会で働く分には高年齢ですよねという考え方です。

少し長くなりましたが、これが菅内閣の実態です。捉え方によっては、確かに高齢の方が多いと感じるのもわかりますし、男女比に関しては一目瞭然です。それでは、他の国はどうなのか見ていきましょう。

フィンランドの内閣の実態

菅内閣が高齢内閣と揶揄される時、高確率で引き合いに出されるのがフィンランドの内閣です。フィンランドの内閣の実態を見ていきましょう。

2020年9月23日時点

役職名前年齢性別
首相サンナ・マリーン35歳
副首相・科学文化大臣アニカ・サーリッコ37歳
財務大臣マティ・ヴァンハネン65歳
経済大臣ミカ・リンティラ54歳
外務大臣ペッカ・ハービスト62歳
開発協力・外国貿易大臣ヴィッレ・スキンナリ46歳
雇用大臣トゥーラ・ハータイネン60歳
法務大臣アンナ=マヤ・ヘンリクソン56歳
内務大臣マリア・オヒサロ35歳
国防大臣アンティ・カイコネン不明
運輸・通信大臣ティモ・ハラッカ58歳
農林大臣ヤリ・レッパ61歳
環境・気候変動大臣クリスタ・ミコネン48歳
地方行政大臣シルパ・パーテロ56歳
教育大臣リー・アンデルソン33歳
社会保健大臣アイノ=カイサ・ペコネン41歳
家族・社会サービス大臣クリスタ・キウル46歳
欧州担当相・国営企業大臣トゥッティ・トゥップライネン44歳
北欧協力平等大臣トーマス・ブロムキィビスト55歳

フィンランド政府:https://valtioneuvosto.fi/en/frontpage

フィンランド政府と言えば、2019年に史上最年少女性首相が誕生したということで、かなり話題となりました。それから一年経ち、当時のメンツと一部変わったところもありますので、最新のものをフィンランド政府の公式サイトを参考にしてまとめたのが、上記の表です。残念ながら、国防大臣のページだけアクセスできず年齢不詳となっていますが、それ以外は最新のデータとなっています。国防大臣の分を抜いた18名の平均年齢は49.55歳となり、日本と比べると非常に若い印象が持てます。最高年齢は、財務大臣マティ・ヴァンハネンの65歳で、最低年齢が教育大臣リー・アンデルソンの33歳となっています。日本の高齢者にあたる年齢の方は、ヴァンハネンただ一人ということになりますね。また、19人の内11人が女性ということも日本と比較した時に大きく異なるポイントです。

フィンランドも高齢化社会

こうして数字を比べてみると、確かに日本は高齢内閣かもしれません。しかし、日本は高齢化が世界でも進んでいる国なので、そこの違いだろうという考え方もありますね。フィンランドの高齢化の進み具合はどうなのでしょうか?日本は、2018年時点で高齢化率が27.4%という数値となっており、世界一位を記録しています。これに対してフィンランドは21.7%となっており、日本と比べると確かに低いですが、これは世界第4位の数値なのです。つまり、日本もフィンランドも高齢化が進んでいるという点においては、変わりありません。

まとめ

今回は、フィンランドの政治家と日本の政治家の年齢を比較して、菅内閣は本当に高年齢内閣なのかということについて見ていきました。数字を見ると一目瞭然、やはり日本の内閣は高齢化が進んでいる様子。若い政治家が参入しにくい形態というのが見て取れます。今回はデータを提示できませんでしたが、実は他の国と比べても、菅内閣は高年齢内閣と言えるのです。女性政治家の参入も少なく、世界的に見ると、とても古い形で政府が成り立っていると考えられます。

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