日本時間5日未明、レバノンのベイルートで大規模な爆発が起きました。
爆発の様子はSNSで広くシェアされ、その威力に多くの人が衝撃を受けています。
(注意:グロテスクな画像はありませんが、死者の出た爆発の様子です)
現場は港 保管庫が近くにあり
現場はベイルートの港です。GoogleMapでみるとたくさん倉庫やコンテナ、そして運搬用のタンカーが見えます。
公式サイトによれば、サイロ等もあることがわかります。
4つの一般貨物倉庫:総面積25,547m²
自動車用の3つの倉庫:総面積17,958m²
危険物倉庫1棟:総面積5.231m²
サイロ:総容量:12万トン
(その他多数の倉庫・機材・施設あり)
なぜあそこまで大きな爆発になったのか?
(現時点で原因は確定していません。執筆時点で集められる情報を元に推察しています)
今回特に衝撃的なのが、あの爆発規模です。
通常の港湾火災でも、あのような爆発は起きません。爆発を起こすに至っては何らかの要因があるはずです。
SNSでもいくつか説が上がっていましたが、果たしてその説が正しいのか、現在わかっているものを検証してみたいと思います。
花火工場説:(あまり現実的ではない)
SNSで爆破の映像が流れてすぐ、「花火工場説」が取り上げられました。
確かに小さな火花が下に見えますが、それが花火工場説を裏付けるとは言い難いです。
まず現場に花火工場があるという情報はありませんでした。(map上も参照しましたが見つかりません)
また、花火用の火薬には緩徐に燃焼するような助剤も含んでいることが多いですので、いきなり大規模な爆発を起こすとも考えにくいでしょう。
花火なら炎色反応系の発色剤が混合されているでしょうが、そのようなカラフルな煙も確認できません。
更に花火であれば、初期の火災時点で飛散していく花火が見えるはずですが、あくまで小規模な爆発がチカチカしているだけのように見えます。
花火工場説は現実的ではありません。
(当初の報告では爆竹倉庫という説もありましたが、多くの人によって否定されています)
粉塵爆発説:(あまり現実的ではない)
また今朝方SNSに上がっていた説には「粉塵爆発」という説がありました。
確かに最初の施設情報にもあったとおり、サイロがありますので穀物等も保管されています。
しかし粉塵爆発は、フィクション等で取り上げられて有名になりましたが、クリアするためにはいくつかの条件があります。単純に穀物等があればいいものではありません。
ウィキペディアにも下記のような記載があります。
粉塵爆発が起きるためには、粉塵雲、着火元、酸素の3条件が揃わなければならない。粉塵爆発は、空中に浮遊している粉塵が燃焼し、燃焼が継続して伝播していくことで起きる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B2%89%E5%A1%B5%E7%88%86%E7%99%BA
しかし、浮遊する粉塵の粒子間距離が開きすぎていると燃焼は伝播せず、逆に密度が濃すぎると燃焼するための十分な酸素が空間に無いために燃焼が継続できず、いずれの場合も爆発しない。
粉塵爆発には「ちょうどよい密度」で粒子が漂っており、「酸素の供給も十分にされて」いる必要があります。
確かにサイロ内には粒子が漂っているでしょうが、密閉したサイロがみんなあのような爆発を起こすのであれば、港やサイロの周りには誰も住めなくなります。
現実には、粉塵爆発では一般的な火薬のような理論が適用できないため、FK理論といった計算を用いてリスク評価が行われています。
実際に起きた粉塵爆発の威力は、その規模が大きいため派手にみえますが、TNT爆薬に換算すると、数百トンの小麦粉でも数キロの爆薬程度にしかならないことが多いです。
倉庫に保管されていた硝酸アンモニウムの爆発:現在最有力
一番現在辻褄があっているのが、「数年前の没収された硝酸アンモニウム」です。
CNNでも下記のように記載されています。
CNN’s Ben Wedeman reported that authorities think a large amount of ammonium nitrate seized from a ship in 2013 or 2014 may have caused the blast.
https://edition.cnn.com/2020/08/04/middleeast/beirut-explosion-port-intl/index.html
CNNのBen Wedemanは、当局が2013年または2014年に船から押収された大量の硝酸アンモニウムが爆発を引き起こした可能性があると考えていると報告した。
硝酸アンモニウムとは?
硝酸アンモニウム(NH4NO3)は工業用に多く用いられている物質で、化成肥料の窒素源として用いられる他、火薬・爆薬の原料としても重要な物質です。
この物質はとても危険で、衝撃を与えただけでも爆発することがあるため、保管・移動には厳重な規制が掛けられています。
また、輸入にも多くの規則が掛けられています。
もし日本に「硝酸アンモニウム」を輸入したい場合は、「外国為替及び外国貿易法」(外為法)に基づく経済産業大臣の承認を受けなければなりません。
現在疑われているのは、2013、もしくは2014年に押収された硝酸アンモニウムが爆発したのではないか、という説です。
一説によれば「2750トンの硝酸アンモニウム」が保管されていたそうですが、
これはRE係数で単純計算すればTNT火薬1,155トン相当の爆発になります。
広島に落とされた原爆はTNT換算で1.5万トンですので、おおよそ「リトルボーイ」の1/12の爆発力です。
過去にも天津等で港湾爆発がありましたが、その際の爆発力は「TNT火薬換算で24トン分の破壊力」とされていました。
それでも震度2.3の地震が起き、165名もの死者が出ています。
今回はその50倍近い威力となります。
いかに桁違いの爆発が起きたのかがわかります。
あの映像の衝撃波にも納得できる説です。
爆破物による攻撃説:トランプ大統領の所見
トランプ大統領は、ホワイトハウスでの記者会見にて今回の爆発についても言及しています。
そこで下記のように話しています。
「アメリカはレバノンを支援する用意がある。ひどい攻撃があったように見える」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200805/k10012551561000.html
「軍の高官と会って話をしたが、攻撃の可能性があると考えているようだ。何らかの爆弾のようだ」
ただしこれは「何らの情報源を別に持っている」という訳でなく、あくまで現在の状況からみた初見のようです。
アメリカ国防総省は以下のように声明を出しています。
「ベイルートでの爆発は認識しており、積極的に調査を進めているが、現在のところ、爆発の原因やその影響について発表できることはない」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200805/k10012551561000.html?utm_int=news-new_contents_latest_with-image
特にテロ組織等から犯行声明等も出ていませんし、政治的に重要なイベント・施設等も確認されていません。
現状では、「押収した硝酸アンモニウム」説が最も有力です。
ただし被害範囲が広く、現在現場は混乱しています。まだ情報が錯綜している段階で結論は出せません。
ひとまずは、なるだけ死傷者が少なく、救出活動等が円滑に進むよう祈っています。
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TNT換算11ktの硝酸アンモニウムがあっても、それが全部一瞬で爆発したわけではない(非常に困難)と考えられるので、爆発力はそれ以下でしょう。原爆の場合は、核反応はマイクロ秒(100万分の1秒)単位で起こりますので、すべての爆発力が一瞬に出力されます。
爆発したのがもし硝酸アンモニウムだったにせよ、この時期にこれが起こるということは、偶然にしては出来杉だ
というくらいは考えた方がいい
1回目の爆発の煙の中で雷が生じているように見える。粉塵の摩擦電気で火山雷が発生し、落雷が2回目の硝酸アンモニウムの大爆発を引き起こしたのではないか?
中国共産党の仕業です。ADAMANTINEブログ 参照。