コラム中国地域・海外

尖閣諸島で高まる脅威 中国は本気で奪いにくるのか?

 安倍政権がコロナ第2波の影響に悩まされるなか、中国はその政治的隙を突くように、尖閣諸島を占拠するための行動を本格化させている。

 まず、尖閣諸島についての最近の中国の発言はこれまでとは異なる。中国は、「日本の海上保安庁は日本漁船の尖閣接近を止められなかった」、「中国漁船が尖閣海域で何をしようと日本に言われる資格はない」など、尖閣は我々の領土であるとの主張をより明確に強く示すようになった。5月には、中国公船が日本の領海内に侵入して日本漁船を長時間に渡って追尾し、「中国の領海で違法操業している日本漁船を法に基づいて追尾・監視した」と主張した。今年4月中旬以降、尖閣周辺海域では中国公船の姿が毎日確認され、8月2日現在111日連続で、尖閣国有化宣言以降で最長の連続日数を更新し続けている。

今後は海警と軍との融合化した海洋覇権も

また、今後の海洋覇権活動の形態にも注意が必要となる。2018年、中国海警局は軍の最高機関である中央軍事委員会の指揮下にある人民武装部隊に編入され、全人代は今年6月、平時において軍と海警が共同で訓練し、戦時には海警が中央軍事委員会か軍の地域別組織である5つの「戦区」から直接指示を受けることを可能にすべく、人民武装部隊の法律を改正した。

 これによって、中国漁船と海警局巡視船、軍艦などの一体化した行動が増え、尖閣周辺や南シナ海での海洋覇権活動が一層顕著になる可能性もある。最近では、海警局巡視船の尖閣周辺での航行の際、台湾海域に軍所属のフリゲート艦やミサイル艦、中国本土では地対艦ミサイル部隊が連動して行動していたことが明らかとなった。中国漁船の武装化、中国漁船を偽った軍艦、海上民兵の投入なども大きな懸念事項で、最前線で対処に当たる海上保安官の身の安全がこれまで以上に心配となる。中国としては、軍事機能と警察機能との融合によって日本の行動を抑止し、尖閣諸島の奪取に漕ぎ着けたい狙いがある。

コロナ禍を利用する中国 日本の対応を探る

 8月2日現在、コロナ第2波で感染者が最も多いのは東京だが、人口10万人あたりの感染者数は沖縄が最も多く、玉置知事は病床が不足していると警戒を強めている。在沖米軍での感染者数も多くなっており、コロナ第2波が米軍兵や自衛隊員1人1人の安全と健康を脅かすことになれば、それは必然的に在沖米軍と自衛隊の運用能力に支障をきたすようになる。中国としては、コロナ第2波によって生じた政治的隙を突くことで、海警と軍の一体化行動、海上民兵の投入など計画してきたさまざまなオプションを試そうとしている。そして、日本や米国がどういった反応を示すかを注視し、現状打破に向けた戦略を長期的な視野で達成しようとしている。習政権は中国の海洋強国化を押し進めているが、それにデッドラインは存在せず、持久戦になる覚悟は織り込み済みであろう。

 今月16日に、中国が尖閣諸島周辺で設定した休漁期間が終了するが、それに合わせて中国が大漁船団などとして尖閣諸島周辺での活動を活発化させる恐れがある。大漁船団には武装漁船や海上民兵も含まれている可能性があり、今後さらに中国による挑発がエスカレートしそうな感じだ。

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