シン・エヴァ劇場版が6時間あるというのはデマ

『エヴァンゲリオン』シリーズは、TV版開始から27年間にわたり、日本のサブカルチャーを支えてきたメガコンテンツです。
そしてついにその集大成が見られるとして、期待が高まっている『シン・エヴァンゲリオン劇場版』についてですが、先日公開されたある画像から、「6時間に渡る超大作なのでは?」という噂が広がっていました。

※画像では延べ17年となっていますが、後に27年と訂正画像がツイートされました。

「6時間」の根拠とされたのがこの画像

「『シン・エヴァンゲリオン劇場版』Dパート(最終ブロック)の最新ラッシュの画面2020年10月2日版。」

この上部部分に書かれている「5:59:50:00」という数字から、映画本編が6時間近くあるのではないか、という疑念が持たれたのです。

この話はまとめサイトなどで大きく拡散され、本作を楽しみにしている人たちは、皆一様にトイレの心配をしていました。

上の数字は「タイムコード」であり、「上映時間」ではない

しかしトイレが近い皆さん安心してください。エヴァ新作が6時間もの長さになる可能性は「限りなく低い」です。

そもそもこの上部に記載されているのは「タイムコード」という、映画製作で使われる数値です。

映像の一コマ一コマに入れる絶対値番号。通常は8桁の数字。通し番号のノンドロップフレーム(ND)と実時間に合わせるドロップフレーム(DF)がある。

https://tf-tms.jp/glossary/getword.php?w=%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89

例えばあなたが庵野監督だとします。
「あのシンジくんがうずくまってるシーン、やっぱもっと暗い感じにしましょう」と作画現場に指示を出しました。
現場は「シンジくんがうずくまってるシーン」を探し出して……これかな?と推測で暗くする……なんて状況は怖すぎますよね。
シンジくんがうずくまってるシーンは、(たぶん)多すぎてどれがどれだかわからないですし、うっかり「これだ!」と思って暗くしたら、まったく別のシーンのことだった、という事故も起こりかねません。

そのような事故を避けるために、映像ソースに「タイムコード」という数値を入れて管理するのです。
これなら「タイムコード030810のシーン、少し暗くしてください」等と明確に指示が出せます。
これはほとんどの工程で一貫して使われるものであり、実際の放映時間や、シーンの入る時間等にはあまり関係がありません。

タイムコードの例(右上)

例を見てみましょう。上記は新海誠監督「天気の子」で制作現場の紹介としてあげられていた動画です。
右上に「01:10:39:05」という数値が書いてありますね。

しかし「天気の子」を実際に見た方は分かる通り、この絵コンテのシーン(陽菜が帆高にハンバーガーを奢るシーン)は、かなり序盤の方であり、1時間10分も経った頃のシーンではありません。
(ちなみに天気の子全体は1時間51分です)

タイムコードについてもっと知りたい方は「SMPTEタイムコード」で調べてみるといいかもしれません。

エヴァの放映時間が「6時間」の可能性は”ない”

このように、タイムコードだけをみて「シン・エヴァ劇場版は6時間ある!」というのは難しいです。

「でも本当に6時間あるかもしれないじゃん!」と思われますか?
結論からいうと「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の放映時間は、まだどこにも公開されていないので、確定的な情報は言えません。
(17:30追記 公式より「絶対あり得ませんのでご安心を!」と否定されました)

ただし別の情報から、シンエヴァ劇場版が6時間もあることは大変考えにくいのです。

放映時間が長い映画は、前売り券が高くなる

それは前売り券の価格から推測できます。

映画は映画館で放映されることが主目的となりますが、映画館も商売です。
もし本当に6時間の映画を流すとしたら、同じキャパシティで1時間半の映画を3本流せます。(間にインターバルをいれたとしても)
ならばどれだけ人気作であろうと、映画の料金を高くしなければ割に合いませんよね?

なお、実際に6時間の映画は存在します。
しかしながら、前売り券はどれも通常の映画より高額です。
例えば「サタンタンゴ」という映画は「7時間30分」もの尺があります。(途中2回休息が入ります)
1994年に制作が行われ、最近4Kリマスターされたこの映画は、去年9月に日本の映画館でも上映されました。
その際の「全国共通前売り鑑賞券」は3,600円(税込)、当日券は3,900円(税込)と、通常の映画の倍近い金額です。

対して、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の前売り券は未だ発売になっていませんが、グッズ付きの「ムビチケ」は発売になっています。
(シン・エヴァ公開はコロナの影響で延期になりましたが、それ以前から販売していたものです)
それによると、「ヴィレの青いバンダナ」がセットになったムビチケで「3,300円(税込)」です。
ヴァンダナがついているのにこの時点で「サタンタンゴ」の前売り券より安いですね。「グッズのついたムビチケ」としては、他の映画とほぼ同等の価格です。

庵野監督ならたしかに「6時間の映画」もつくってしまいそうな雰囲気はありますが、庵野監督と言えど映画館・スポンサーあっての制作であり、興行であることからは逃れられません。
上記のことから、「6時間もの尺がある」とはかなり考えにくい状況です。

なお、肝心の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開日についてですが、未だ公式情報では明らかになっていません。
しかし、映画館がすでに営業再開していることや、先程掲載した「ムビチケ」が発送になったという情報がいくつか上がっており「そろそろ近いのではないか」と噂されています。

いずれにせよ、庵野監督27年もの集大成です。今から公開が楽しみですね。

追記:公式より否定

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  • 数字遊びしてて草
    しかもピッタリ同じならまだしもほぼ同じとかなんやねん

Published by
安藤隆史