地域・海外東南アジア・南アジア

タイ、デモの象徴となる「3本の指」とは? 集会禁止でも抗議者増加

タイでは現在、政府に対して大きなデモがおきています。

16日夕方、首都バンコクで反政府デモ隊に向かってタイ警察が放水しました。
地元マスコミは「水爆弾に化学成分が入っていて目が痛かった」という一部デモ参加者の言葉を伝えていますが、水の中に何かしら混ぜられていた、といった成分情報は確認されていないようです。

デモ隊の目的としては「首相の退陣」、および「君主制廃止」です。
ここ最近デモが激化しているので、タイ政府は5人以上での集まりを禁止する「緊急勅令」を交付しました。

先月19日に開かれた集会に、3万人が参加したのに続き、緊急勅令発表前日の14日にも、約2万人がデモに参加しました。
これは2014年のクーデター以降、最大規模のデモです。

デモ隊が掲げる「3本の指」とは?

タイのデモでは、「3本の指」を掲げる人が多くいます。
これは映画「ハンガー・ゲーム」に由来しています。映画内でデスゲームに巻き込まれた登場人物はこの3本の指を掲げることで「愛する人への感謝、賞賛、そして別れ」を表しました。
映画内でこのジェスチャーは多くの人に広まり、「特権的で全体主義的な大君主に対する反乱の象徴」として使われています。

タイのデモに参加している人々は、それらの登場人物に共感し、このジェスチャーを取り入れています。
14日のデモでは、マハ·ワチラロンコーン国王夫妻が乗った車の行列が、行事参加のためにデモ現場近くの道路を通ることになり、警察官1万5千人が配置されましたが、デモ隊の一部は王室車両の行列を緩め、王室改革などデモ隊の要求を象徴する「3本の指」を掲げました。

「王室に意見する」というのはタイの人にとって今まで考えにくいことでした。
王室は尊むべきものとされ、王室を侮辱する言葉を述べた人は3年から15年の禁固刑に処されます。

しかしこのコロナ禍にあって、タイでも貧富の差が問題となっています。
特にいままでタイにいる多くの人々は、観光資源で暮らしてきました。
海外旅行客が落とす外貨が大きな収入源だったのですが、それが途絶えた今、SNSを中心に政府や王室に対する批判が巻き起こっています。

タイでは2006年、および2014年に軍事クーデターが起きています。
「微笑みの国」とは呼ばれていますが、その情勢はとても安定している訳ではありません。
タイ政府がどのような舵取りを行うのか、まだ明らかになっていませんが、このまま行くとまた大きな転換が起きる可能性は十分にあり得ます。

【福岡求人】メディアサイト運営アシスタント募集


guest
0 Comments
インラインフィードバック
コメントをすべて表示
Back to top button