アメリカのミシガン州とノースカロライナ州では、増えているサイバー犯罪に対処するため、専用の緊急番号が開設されました。
住民の間で新型コロナウイルス関連のサイバー犯罪被害が続出し、数十億円規模にまで達したことを受けて開設に至ったとのことです。
このホットラインサービスは電話で提供され、ノースカロライナ州で「211」と押せば係員につながります。 これはアメリカで初めて試みられた事例の一つで、二つの非営利団体に加えて州立政府と連邦政府が共にこれに資金を出したそうです。
ノースカロライナ州では、以下のようなサイバー詐欺事故が起きています。
1. 携帯電話のクローン作成
2.偽のコロナ検査結果
3.偽の寄付・慈善募金
4.偽の求人求職のニュース
サイバー犯罪専門家であるニコル·デニス(Nichole Dennis)は公式発表文を通じて「困難な時に多くの人々がネット上の詐欺犯罪の被害を受けている」とし「特に失業した人々をもう一度傷つける悪質な犯罪は容認できない」と述べました。
コロナによって家から隔離された生活をする人々を狙うのは、デニスが指摘した求人·求職関連の詐欺師だけではありません。
「ロマンス詐欺」とアメリカで呼ばれている詐欺も猛威を振るっています。
コロナで孤独になった人の寂寥感に漬け込んで、物を買わせたりお金を振り込ませたり、わいせつな画像や動画を送らせ、それを元に脅迫する等の犯罪です。
中小企業でも各種サイバー犯罪の被害が相次いでいます。 2019年の1年間だけでもノースカロライナで通報されたインターネット犯罪8223件がFBIに移譲されました。 この8223件による被害総額は50億円近いそうです。
このような中、今年3月から現在まで集計されたコロナ関連サイバー犯罪の被害額も4億円を超えたとFTCが発表しました。 現在ノースカロライナ州は全米で8番目にサイバー犯罪被害が多発している州です。 特にコロナに関する攻撃がノースカロライナ州で顕著に発生しました。
デニスは「深刻なのは、被害者のほとんどが自分が被害を受けたという事実を認知していないということ」とし「次に深刻なのは、被害事実を認知した後、どこにどのように申告して助けを求めるのか分からないということ」とホットラインサービス開設理由を説明しました。 各種犯罪を通報する時、警察署に電話をしなければならないのは知っていますが、サイバー犯罪は果たして相談していいのだろうか…と躊躇する人は多いです。
これに対しデニスは「今や誰でもノースカロライナに居住し、サイバー犯罪で被害を受けるなら、電話から211番を押して専門の相談員と通話することができます」と説明しました。ネットいじめ、ネットストーキング、ロマンス犯罪、金銭詐欺、脅迫、高度なハッキング事件まで、すべてこの番号で申告することができます。
2020年5月、サイバー犯罪支援ネットワークとユナイテッドウェイミシガン支部はパートナーシップを結び、ミシガン郡13ヵ所にサイバー犯罪通報ホットラインを開設しました。 ひとまず通報を受け付けるだけでも、犯罪者のパターン分析と追加犯罪予防に大きく役立つ、というのがセキュリティ専門家たちの意見です。 しかし、このホットラインの「専門相談員」の専門性がどこまでなのか、捜査機関とどのように連携して犯罪処理をするのかはまだ未知数です。