イギリスの科学者が今までの6倍のスピードでプラスチックを分解する酵素を発見しました。
プラスチックを分解するのにかかる時間が数週間から数時間になりました。今後、酵素はプラスチック汚染問題を解決する為の鍵となり、ある種類のプラスチックを対象とした合成酵素を開発する為の扉を開くことになるでしょう。
2010年代後半に有機酵素によるプラスチックリサイクルの分野が急激に発展しました。2016年には日本の科学者がペットボトルや衣類に使用されている一般的なプラスチックであるポリエチレン・テラフタレート(PET)のポリマーを食べて分解する虫をゴミから発見しました。
2018年、ポーツマス大学酵素イノベーションセンターのジョン教授はさらに優れた酵素を作り、分解時間を大幅に短縮させました。
また今年4月にはトゥルーズ大学が堆肥になった葉から抽出した酵素を70℃に加熱すると、約10時間でPETを縮合重合出来ることを発見しました。
これらの技術を活用し、フランス企業のカルビオスは2024年から2025年までに市場で応用するために基礎を築いていく予定です。
現在ジョン氏はこの分野での責任者となっています。日本の発見であるオリジナル酵素「PETase」と、切断されたポリマーをプラスチックのモノマー(リサイクルに利用出来る基材)に変換する酵素「MHETase」を組み合わせ出来た「カクテル」は、プラスチックを3倍の速さで分解し、再利用しやすくします。
ジョン氏は3次元構造の個々の原子を見ることができる「ダイヤモンド光源」を使い「MHETase」酵素の詳細な地図を作成し、高度な酵素システム設計に着手する為の分子設計図の取得に成功しました。
今後の課題は、一部がリサイクル出来ない天然素材やプラスチックを分解する為の酵素をさらに追加することです。