「ディープフェイク」が悪いニュースで話題になっています。
先日アダルトビデオに女性芸能人の顔を合成し、それをネットに公開したとして大分県の男が逮捕されました。
起訴状によると、昨年12月、AV出演者の顔に女優の顔を合成した動画を公開し、複数の女優の名誉を毀損したほか、今年4月、映画出演者の顔を別人の顔に改変した動画を作成し、制作会社の著作権を侵害した、としている。
https://www.47news.jp/5406148.html
また、Telegramという匿名性が高いチャットサービス内では、顔写真を送るとディープフェイクを利用して合成した卑猥な画像やビデオが届く、といったサービスが有料で提供され、10万人以上の被害者がいるとのことです。
同社によると、2019年7月からTelegram上のディープフェイクbotがリアルな女性の画像から本人が知らないうちに「DeepNude」を生成し、Telegram上で拡散しているという。標的になったことが確認できたのは2020年7月現在で10万4852人。Sensityのジョルジオ・パトリーニCEOは、「画像付きのSNSアカウントを持っていれば、誰もが標的になる可能性がある」と警告する。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2010/21/news071.html
このような攻撃はどのように防御しなければならないでしょうか。
社会はディープフェイクによって合成された画像にあふれてしまうのでしょうか?
自分の顔や音声が悪意的に編集され活用された時、どのように対処すればいいでしょうか。
カリフォルニアに本拠地を置くサイバーセキュリティ会社ファイアアイは、このように語っています。
「すでにディープフェイク攻撃に備えた防御技術いくつか存在します。AIが合成した画像や動画なのかを判別する仕組みです。 目や歯の並び、耳が対象か、瞬きの仕方などを多角的に分析するのですが、この技術が発展することでディープフェイクと戦うことができるのではないかと予想しています」
そしてこれらの技術を活用するためには、SNS側がこの技術を取り入れるべきだ、と語ります。
たとえ画像を作成することができたとしても、拡散しなければダメージは最小限に留められるからです。
実際、フェイスブックやマイクロソフトなどは複数の大学機関と協業し、ディープフェイク対応技術を設けています。 Googleはディープフェイク技術で作られたコンテンツ数万件が含まれたデータセットを発表し、研究活性化に貢献しました。
「しかし、偽の映像を作って流す側が、それを探知して防ぐ側よりずっと有利な位置にいます。 見破る技術の発展よりも、ディープフェイク技術が発展するほうがはるかに早いでしょう。 セキュリティとIT業界に携わる人々は人工知能開発者、関連政策立案者などに対し絶えず意見を示し、情報を提供することで、しっかりした対策ができるだけ早く実行に移されるように協力しなければなりません。 すでに攻撃は起きており、防御策は未だ開発中の状況です」
参照:https://www.wired.com/story/cheap-easy-deepfakes-closer-real-thing/
「ディープフェイク」で悪用されたくない場合……もっと効果的な方法があればいいのですが、これが一番最善策になります。
ディープフェイクを制作する場合、画像がたくさん、そして高解像度であればあるほど作りやすくなります。
なので自分のディープフェイク画像を作られたくない場合は、SNSやtiktok等でなるだけ顔を出さないようにしましょう。
特に未成年の場合、SNSに鍵をつけて、直接見知った人間以外は見えないようにしてしまうことも検討しましょう。
それは悪い大人が誘いを掛けたり、詐欺に巻き込まれたり、といったことも防ぐことが出来ます。
……逆にいえば、残念ながら現状防ぐ手立てはこれしかありません。自分のディープフェイク画像を、世界中から全て削除するような方法は残念ながらないのです。
このことも問題の深刻性を高めています。
自分が拡散する側にならないことも、警戒が必要です。
「有名人の●●がこんなことをしたらしい!」「まさかの○○の極秘映像入手!」等、センセーショナルな動画や画像に飛びつくのをやめましょう。
たとえ本物そっくりに見えたとしても、それはディープフェイクで作られた映像であるかもしれません。これからの時代、常に疑って掛かるような警戒心が必要です。
例えそれを再拡散しないとしても、アクセスするだけで収益を獲得する方法はあります。そして収益が得られるとわかれば、同じようなことをする人間は増えていくことでしょう。
「作った人間が悪い」という思考は、残念ながら世の中を良くはしません。
ましてや、ディープフェイクとわかった上で拡散したり、それに対してお金を払ったすることはやめましょう。
逆に人類がディープフェイクに敗北した場合も考えてみましょう。
残念ながらディープフェイクが蔓延した場合、表現の規制もありえます。
もしくはネット接続が全て監視され、どのような情報をやり取りしたのか、検閲されることもありえます。
そのような世界はむしろディストピアです。そうならないためにも、拡散に加担したり、悪い事のためにディープフェイクを使用する人たちに、利益を与えるようなことはしないようにしましょう。