コロナ健康・医療・生き方

コロナワクチンを量産すると、カブトガニや渡り鳥が絶滅の危機に瀕するかもしれない

新型コロナウイルスのワクチンは、喜ばしいことに完成まで秒読み段階にあります。
ファイザー製のワクチンは、早ければ年内に流通を開始すると報道がありました。また、ファイザーに続いてモデルナ社も、近いうちにFDAの緊急使用承認を求める構えです。

ただ「世界人口レベルのワクチンを一斉に精製する」という、人類史きっての試みは、思わぬところに影響を及ぼすかもしれません。

なんと、渡り鳥を危険に晒すかもしれない、というのです。

なぜワクチンを生成すると渡り鳥に影響があるのか?

この話を理解するためには、まずワクチンの生成に「カブトガニ」が必要、という点を理解する必要があります。
更に詳しく述べると、ワクチンの製造や血流に注入する必要のある薬にを精製するには、カブトガニの血液を利用して検査を行う必要があります。(アメリカの場合)

それではカブトガニが絶滅するのでは?と思われた方、一応……大丈夫です。
血液はカブトガニを殺して奪うのではなく、全血液中の3分の1をもらいうけるだけです。

カブトガニは、唯一の天然のアメーバ細胞溶解物であるLALの原料です。
製薬会社はLALを使って、少量でも血流中に侵入すると致命的になるエンドトキシンという細菌汚染物質を検査しています。
製薬会社は平年、推定7000万件のエンドトキシン検査を実施しています。しかし、2020年は決して普通の年ではありません。
例年通りのワクチン生成にプラスして、新型コロナウイルスのワクチンを製造する必要があるからです。

自然保護活動家たちは、すでに弱まっているカブトガニへさらなるストレスが加わることで、卵の生産量が減るのではないか、と推測しています。
そしてその結果、アメリカ東海岸に生息する「シギチドリ」類が栄養失調になるのではないかと心配しているのです。

カブトガニの産卵数が減少することによるデメリット

実はこのカブトガニ問題、今に始まった話ではありません。
先程「全血液中の3分の1をもらいうける」という話をしましたが、その後海に放流されたカブトガニの5~30%は残念ながら死亡しています。

また自然保護活動家によれば、出血して生き延びたカニは、通常ほど卵を産まないのではないかと考えています。
1980年代から1990年代初頭にかけて、デラウェア湾には1平方メートル当たり約5万個の卵がありましたが、現在は約8000個まで減少してしまっているとのことです。

もちろんカブトガニそのものも、個体数の減少は避けるべきことですが、それにもまして、カブトガニの卵を栄養としていた渡り鳥への影響が顕著だといいます。

カブトガニの卵は、南米の南端にあるティエラデルフエゴから毎年春にカナダ北極圏にコオバシギが毎年9,000マイル移動する際の重要な燃料です。製薬会社にとって、カブトガニの血液はワクチン製造の重要な要素です。

彼らの食料源となるカブトガニの卵が減ったため、この地域のルファコオバシギの数は、1990年代の約10万羽から今日では約12,000羽に急落しました。現在この鳥は、合衆国魚類野生生物局より2015年に絶滅危惧種としてリストアップされています。

EU・日本・中国では代替手段がすでに取られている

この問題を解決するには、どうしたらいいでしょうか。
ようはカブトガニに依存している検査薬を、他の方法で入手できればいいのです。

バードウォッチャーであり製薬科学者でもある「ジェイ・ボルデン」氏は、ワクチン製造に使うカブトカニ由来のLALから、合成代替物またはrFCに切り替える取り組みを主導しました。
その新手法で製造された偏頭痛薬と糖尿病薬を製造し、厳格なFDAの認可も通過したのです。
この手法にヨーロッパ・中国・日本が注目し、すでにこれらの地域では代替手段が広く用いられています。

しかしながら肝心の米国では、この代替手段があまり利用されていません。
今年はじめ、米国薬局方(USP)が、rFCをLALと同等のものとして受け入れる新しいガイダンスを公開することが期待されていました。しかし、USPは、利害関係者のフィードバックとさらなる調査の必要性を理由に、これらを延期しました。
ファイザーやモデルナ等の製薬会社は、そのこともあってrFCベースのテストの採用に消極的です。つまり新型コロナウイルスワクチンの開発にはカブトガニの血液が必要になります。

人名優先は当然だが、犠牲を知っておく必要がある

もちろん、アメリカが今それどころではない、ということも事実です。
感染者は1日20万人を越えようとしており、毎日1000人~2000人もの人が亡くなっています。

たとえいくつかの種が絶滅の危機に瀕してもワクチンを精製する、この決定も当然でしょう。

しかしながら、人類が生き残るために払われた犠牲を、私達は知っておく必要があるはずです。
そして願わくば、人類がコロナを克服した後、これらの問題にも目を向けることを祈ります。おそらくこれらの問題を解決した際、人類はまた強くなることができるはずです。

参照:https://www.audubon.org/magazine/summer-2018/inside-biomedical-revolution-save-horseshoe-crabs
https://www.audubon.org/news/how-race-covid-19-vaccine-jeopardizes-east-coast-shorebirds
https://thehill.com/changing-america/sustainability/environment/525413-horseshoe-crabs-are-crucial-to-creating-vaccines

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