本日(10日)トレンドに「児童手当」「年収1200万」が入っていますが、これは与党が検討する児童手当見直し案が話題となったためです。
政府は10日、中学生以下の子どものいる世帯に給付する児童手当の見直しを巡り、世帯主の年収が1200万円以上の場合には不支給とする方向で検討に入った。見直しで浮いた財源を待機児童解消に向けた14万人分の保育施設の確保に充てたい考えだ。与党と協議し10日にも結論を出す。
https://this.kiji.is/709608296810807296
現在世帯主の年収が960万円を超える方の場合、子ども一人あたり毎月5,000円の児童手当を受け取ることが出来ます。
今回の案はそれを見直し、世帯主の収入が1,200万円を超える場合、子ども手当を不支給とするものです。
もしこの見直しを行った場合、それで浮いた財源は待機児童解消のため保護施設の確保に使うとのことですが、
日本より出生率が高い他国ではどのようになっているでしょうか。
イギリスは○○円!ドイツは○○円!等単純明快に比較ができればいいのですが、事は税金なのでとても複雑です。
ちなみに比較用として日本の児童手当・税制を記載しておきます。
・0~3歳未満 月1.5万円
・3歳~小学校修了
第1子・第2子:月1万円
第3子以降:月1.5万円
・中学生 月1万円
・所得制限以上世帯には当分の間特例給付:月5,000円
・扶養親族1人当たり38万円の所得控除
フランスでは「基礎手当」と「家族手当」に分かれています。
「基礎手当」は収入に応じて1.1万、もしくは2.2万円程度を受け取りますが、3歳までしか受け取ることはできません。
「家族手当」は第二子以降を生んだ家族に出ます。第2子で、月115.07ユーロ(約1.5万円)、第3子以降147.42ユーロ(約2.0万円)がもらえます。
この場合20歳まで受け取ることが出来ますし、14歳以上には約8,000円が加算されます。
ただしこの「家族手当」、3人目からは所得制限があり「約353万円」を超える場合はもらうことができません。
フランスの出生率は1.86。日本はもちろん、他先進国に比べても高い数値です。
(日本は1.43)
ちなみに児童手当以外の手当も相当に手厚いので、高い出生率を維持できているのかもしれません。
スウェーデンの児童手当はシンプルです。
18歳を迎えるまで、以下の金額を受け取ることが出来ます。
・0~3歳未満 約2.4万円
・3~6歳未満 約1.8万円
・7~18歳未満 約1.5万円
所得制限はありません。
出生率は1.75 これもなかなか高いです。
ドイツは児童手当か、児童控除か、を選ぶことになります。(両方はできません)
児童手当を選んだ場合は、以下の手当を18歳まで受け取ることが出来ます。
・第1・2子:月約2.3万円
・第3子:月約2.4万円
・第4子以降:月約2.7万円
所得制限はありません。
児童控除を選んだ場合は、
「夫婦合計で子ども1人当たり約90万円の所得控除」となります。
出世率は1.57、欧州の中では低めですが、日本よりは高いです。
なんとアメリカには「児童手当」なるものがありません。
その代わり、17歳未満の扶養児童1人につき、1,000ドル(約11万2千円)の税額控除があります。
(さらに追加で扶養控除もありますが、これは日本もありますね)
出生率は1.77。
児童手当がなくとも高い出生率を維持しています。
アメリカは除くとして、欧州の国々では日本よりも若干高い児童手当を受けることができます。さらに所得制限もあまりないため、世帯年収が1000万をこえる世帯でももらうことができるようです。
しかし…これらの国は、日本よりも消費税が高い国でもあります。
フランスは20%、ドイツは19%、スウェーデンはなんと25%にも及びます。
もちろん国によって「食費は除く」等の軽減税率がありますが、それを差し引いたとしても、児童手当分が消費税で消えてしまいそうです……
結局のところ、税額を高くして手当を厚くするか、税金は低いままで対象を絞るか、そういった選択が求められている話なのかもしれません。
参照(PDF):https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/future2/20200427/shiryou3_1.pdf