歌手のBoAさんが、韓国検察に事情聴取されたことがニュースとなっています。
ソウル中央地検強力犯罪刑事部(部長検事=ウォン·ジエ)が前日、ゾルピデムなど向精神性医薬品を密かに持ち込んだ疑いでBoAさんに事情聴取したことが17日、確認された。
BoAは所属会社のSMエンターテインメントの日本支社職員を通じて、海外で処方された向精神性医薬品を国内職員の名義で持ち込もうとして摘発された疑いがもたれ、被疑者として取り調べに応じた。
参照:http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/974824.html
「薬物疑惑!?」と青ざめたファンの方がいらっしゃるかもしれませんが、安心してください。この「ゾルピデム」という薬は処方を受けている限り問題ない薬です。「ゾルピデム」という薬に聞き覚えがなくとも「マイスリー」という薬なら聞いたことがあるかもしれません。
「それでも精神薬なんでしょ」と不安になられるかもしれませんが、
「ゾルピデム」「マイスリー」ならば「眠れないので精神科を受信した」その日に処方されてもおかしくないほどの、一般的な薬です。
ただし「向精神性医薬品」なので、海外から持ち込んだ場合ややこしいことになります。
おそらく今回BoAさんが引っかかったのは「韓国の法律」のほうだと思いますが、
もし日本へ輸出入する場合にも、同じような「日本の法律」に引っかかります。
日本の場合「ゾルピデム」は「第3種向精神薬」に分類されます。
この「第3種向精神薬」に該当するものは、一定の量以上を輸出入する場合、書類を提出しなければなりません。
その「総量」は薬ごとに決められており、「ゾルピデム」は「300mg」となっています。
参照(PDF):向精神薬総量について
ただ、今回BoAさんが引っかかったのは、総量よりも別の法律かもしれません。
例え「総量」の範囲内だったとしても、「麻薬及び向精神薬取締法」に引っかかる場合があります。
麻薬及び向精神薬取締法
第五十条の十一 次に掲げる者でなければ、向精神薬を輸出してはならない。
一 向精神薬輸出業者
二 本邦から出国する者のうち、自己の疾病の治療の目的で向精神薬を携帯して輸出する者であつて厚生労働省令で定めるもの
三 向精神薬試験研究施設設置者であつて、学術研究又は試験検査のため向精神薬を使用する者に向精神薬を輸出するもの
四 その他厚生労働省令で定める者
例え「総量」以下であったとしても、輸出入できるのは「自己の疾病の治療の目的」に限ります。
今回BoAさんは「SMエンターテインメントの日本支社職員を通じて、海外で処方された向精神性医薬品を、国内職員の名義で持ち込もうとして摘発された疑い」とのことですので、この法律に触れる可能性は十分にあるのです。
もちろん法に触れた以上、逮捕される可能性が0とまではいきませんが、ほぼ無いとみて大丈夫だと思います。
検察としては「密輸の経緯や故意などを検討して起訴するかどうかを決定する」形です。
今回はBoAさんが非常に協力的ですし、SMエンターテイメントも「不法に搬入しようとしなく無知による間違いだった」と述べています。
「現地の郵便局で成分表を添付すると、その薬品が海外発送が可能である案内だけを聞いて、薬を出荷するミスを犯した」と声明を出しているため、起訴される可能性はかなり低いでしょう。
ただ、医薬品の持ち込みは、国によって「知らなかった」で済まない場合もあります。
もし旅行に行かれる際は、ご自身の常備薬が渡航先に持ち込んで大丈夫なものか、例え市販薬であったとしても、しっかり確認してから旅行にいくことをおすすめします。