コラム

【2021年版】コロナはいつ終息するのか 多数の説を検討してみる

現在感染者が再燃している新型コロナウイルスとの戦い、いつまで続くのでしょうか。

昨年4月、新型コロナウイルスが猛威をふるい始めた頃、同じく「いつ収束するのか」という記事を投稿しました。
当時出していた説は以下のとおりです。

6月には終わる説
伝染病に深い知識ビル・ゲイツ氏がインタビューで語った説
完全に戻りはしないが「6月頃には一度ある程度元通りになる」

18ヶ月以上掛かる説
ワクチンの制作には18ヶ月以上かかる説
それでも本来のワクチン生成工程と比べたら十分早い

コロナと共存していくしかない、とする説
テレワーク・出張といった面では、コロナ後に「戻る」ことがないかもしれない

結果としてはどれも当たった部分があります。
例えば6月はじめの東京都感染者数は、1日10人~20人といった数値でした。
終息まではしなかったものの、たしかに一度元の生活に近づきました。

ワクチンの開発は思ったより早くできました。
これは「mRNAワクチン」の実用化が大きく寄与しています。
ただ接種スケジュールには不透明な部分もあるので、結局16ヶ月程度(8月近辺)かかる可能性もあります。

しかしワクチンが目前に迫った今、新規感染者数は増加し、11都道府県で緊急事態宣言が発令されています。
飲食店等には再度時短要請が出され、内部留保が乏しいお店・企業にとってはいち早く終息を願う気持ちだと思います。

2021年版、新型コロナウイルスはいつ終息するのか

さて、そのような状況を踏まえて、今一度「新型コロナウイルスはいつ収束するのか」という点を考えてみたいと思います。

まずこの「終息」という言葉、いろいろな定義や意味があると思います。
今回は、以下のように「終息」のレベルを分けて検討してみます。

  • 飲食店で気兼ねなく会食ができるレベル
  • 海外旅行へコロナ前と同じぐらい気軽にいけるレベル
  • 人類の勝利 – 集団免疫を獲得するレベル

飲食店で気軽に会食ができるレベルで終息するのはいつ? = 早ければ4月頃?

まず多くの人が気にしているレベルは、このレベルだと思います。
今最も感染リスクが懸念されている「会食」はいつ頃復活する事ができるのか。

この点を予測するには、ワクチンの接種スケジュールを見る必要がありますが
現時点で政府公式の接種スケジュールは明らかにされていません。

NHK等でスケジュールが公開され、一般の人は5月頃…と「政府関係者」が明らかにした、と報道されていますが、新たに「ワクチン担当大臣」に指定された河野太郎氏が否定しています。

公式で明らかにされているのは「接種の優先順位」のみです。

  • ファイザー製ワクチン承認
  • 医療従事者(約400万人)に接種
  • 高齢者への接種
  • 基礎疾患・介護士等への接種
  • 一般人への接種を開始

参照(PDF):https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000721770.pdf

なので、あくまで以下に記載するのは予想でしかありません。
その点留意してお読みください。

「NHKが勝手に予想したスケジュール」では以下のように記載されています。

  • 2月 ファイザー製ワクチン承認
  • 2月下旬 医療従事者(約400万人)に接種
  • 3月下旬~ 高齢者への接種
  • 4月~ 基礎疾患・介護士等への接種
  • 5月 一般人への接種を開始

…普通に考えた場合、みんながワクチンを打ち終わるまで自粛が必要なのでは…?と考えるかもしれませんが、個人的には違うのではないか、と推測しています。
高齢者・基礎疾患のある人にワクチンを打ち終わった場合、恐らくその段階で「緩和ムード」が広まります。

「リスクのある人達にはワクチンが行き渡った。なら他の病気とそこまで危険性は変わらないはずだ」という考えです。

「強い封じ込めが必要」と考える方には、同意するのが難しい考えかもしれませんが、昨年9月ごろ、ワクチンがない状態でも飲食店にそれなりの活気が戻っていました。
それを考えた場合「高齢者・基礎疾患を持つ方」にワクチンが行き渡った時点で、ある程度会食なども解禁される方向になるのではないかと思われます。

ただし、ワクチン接種がうまく進行しなかった場合、
例えばワクチンの効かない変異種が見つかったり、重篤な副作用等が見つかった場合には、これらの前提は覆ります。
その場合、再度有効な対策が見つかるか、昨年6月のように陽性者数が減った状態になるまではお預けとなるでしょう。

海外旅行へコロナ前と同じぐらい気軽にいけるようになるのはいつ? = 7月頃?

外食産業とともに、現在大きく制限されている業界があります。

観光業界です。
とくに海外旅行関係は0に等しくなっており、深刻なダメージを受けています。

これはあくまで現時点の予想ですが、コロナウイルス感染拡大前と同様の状態に戻るまではまだまだ先になるでしょう。国際航空運送協会(IATA)も、2024年までは以前の水準には戻らないだろうと予想しています。

しかし、2023年まで現在のように全面的に海外旅行が事実上の禁止状態にあるかというと、その可能性も低いです。

例えばスペイン政府観光局は、「マヨルカ島への観光客が2021年前半には大幅に回復する」と述べ、楽観的な見通しを語っています。

また、フロリダの「ウォルトディズニーワールドリゾート」では、オールスタームービーリゾート(3月22日再開予定)、ビーチクラブリゾート(5月30日)、ウィルダネスロッジ(6月6日)の予約受付を開始し始めました
その頃には観光客が戻り始めている、と予想しているのでしょう。

たとえ日本より死者の出ている国だとしても、そのぐらい前向きに捉えている国は存在します。

しかし逆に海外旅行解禁が「遠い未来の話」と考えている国もあります。
例えば「オーストラリア」
オーストラリアの最高医療責任者であるブレンダン・マーフィー教授は「海外旅行受け入れについて、2021年解禁の可能性は低い」と述べています。

“I think that we’ll go most of this year with still substantial border restrictions – even if we have a lot of the population vaccinated, we don’t know whether that will prevent transmission of the virus,” he told the program.

https://au.news.yahoo.com/no-overseas-travel-for-australians-until-2022-233443876.html

「今年の大半は、依然として国境制限を続けていると思います。
たとえ多くの人々がワクチンを接種していたとしても、それがウイルス感染を防ぐかどうかは分かりません」と彼は取材陣に語った。

このようにしばらくの間、旅行が難しい地域も存在するでしょう。

旅行先を選ばないならば、問題は「入国時の検疫期間」となります。
いくら海外旅行が解禁されたとしても、帰国後2週間、家からも出られない…となれば、一般的な社会人の方が海外旅行に行くことは難しいからです。

これについては憶測でしかありませんが、例えば”新型コロナウイルスのワクチンを摂取した経歴のある人のみ、隔離期間免除”といった対策は考えられます。
もしくは、日本人の殆どへの摂取が終わった場合…となるので、おおよそ7月頃が目安になるでしょう。

人類の勝利 – 集団免疫獲得について

そして最後に、人類が完全にコロナのことを気にせず振る舞えるようになるのはいつでしょうか。

そのような状態になるためには「集団免疫」を人類が獲得しなければなりません。
抗体を持つ人が一定の割合いることで、抗体のない人にも感染リスクが小さくなっていきます。そして世界中で「集団免疫」を獲得できれば、感染者の数を永続的にゼロにすることも可能なのです。(天然痘等はこの手法で1977年、根絶されました)

ただし、この「集団免疫」の獲得について、今年中の獲得は難しい、とWHOが述べています。

World Health Organization (WHO) chief scientist Soumya Swaminathan said Monday that herd immunity to the coronavirus would not be achieved in 2021, despite the growing availability of vaccines. 

“We are not going to achieve any levels of population immunity or herd immunity in 2021,” Swaminathan told a briefing, while emphasizing that measures such as physical distancing, handwashing and wearing masks continue to be necessary in containing COVID-19’s spread for the rest of the year. 

https://www.dw.com/en/covid-herd-immunity-will-not-happen-in-2021-says-who/a-56197701

世界保健機関(WHO)のスワミナサン主任科学者は、ワクチンの入手可能性が高まっているにもかかわらず、2021年にはコロナウイルスに対する集団免疫は達成されないだろう、と述べた。

(中略)

スワミナサン氏は記者会見で、「2021年には、人口免疫や集団免疫の水準を達成することはできない」と述べた。一方、COVID-19の感染拡大を食い止めるためには、引き続き、身体的距離、手洗い、マスク着用などの対策が必要だと強調した。

日本だけでいうなら、集団免疫”のような状態”を作ることは出来るかもしれません。
しかしいつまでも入国者を制限することは不可能です。
外交上の問題もありますし、香港に変わる金融ハブの地位を狙うならば積極的な受け入れを行う異必要があります。

だからこそ、結局は”世界的な集団免疫”が必要となります。
世界中の国々で、7割り程度の人たちがワクチンや免疫を獲得するには、残念ながら2~3年必要だ、というのが有力な見方のようです。

ワクチンを打てばとりあえず自分は大丈夫じゃないの? → 残念ながら違います。

しかし「ワクチンを打ったら、とりあえず自分の感染は生涯気にしなくていいのでは?」と思われるかもしれません。
ところが、ワクチンを打ったからといって、あなたがもう二度とコロナを気にしなくて良くなる…という訳ではありません。

そもそもファイザー社の作ったワクチンについても、インフルエンザワクチンのように定期的な接種が必要となる可能性が高いのです。

ファイザーは新型コロナワクチンについて、有効性を確保するにはインフルエンザワクチンのような定期接種が必要になる可能性に言及。
同社のアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は28日のインタビューで「ワクチンの免疫が永久に続かないか、ウイルスが変異する、あるいはウイルスが何度も戻ってくる方法を見いだすシナリオとなる可能性が高い」と述べた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-07-29/QE79PYT0AFBA01

ひとまず現時点で見つかっている変異種については、問題なくワクチンが機能しているようですが、いずれワクチンの機能しない変異種が見つかる可能性もあります。その場合は、再度活動を収縮し、ワクチンが改良され頒布されるのを待つ必要があるのです。

といってもご安心ください。
集団免疫を獲得するまで、まるで緊急事態宣言下のような暮らしを強いられるというわけではありません。
先程述べたとおり、4月、遅くとも6月ごろまでには会食できるほどの状況になっている可能性が高いです。

ただし、その間はいずれもコロナ再燃の可能性が0ではありませんので、手洗い・マスク等(昨年9月頃行っていたような対策)は行っていたほうがいいでしょう。

もしくは、コロナ以外の感染症を防ぐためにも、この程度の対策はスタンダードにしていったほうがいいのかもしれません。
例え集団免疫を獲得したからと言って、完全に2019年の衛生基準に戻してしまった場合、再度インフルエンザに数十万人もの人が毎年苦しむこととなってしまいます。また、新型コロナウイルス以外の感染症が、今後発生しないとも限りません。

重要なのは「コロナから何を学ぶか」

日に日に増えていく感染者の報道で、ひょっとしたら暗雲立ち込める想いかもしれませんが、ご安心ください。複数のワクチンで効果が確認されている以上、「緊急事態」と名のつくほどの制約はそこまで長く続かないでしょう。

しかし先程も述べたとおり、新型コロナウイルスの猛威が収まった後何を残していくのか、という点はすべての人に突きつけられている課題です。

手洗い・マスク・ソーシャルディスタンス、更にはライブイベントやテレワーク、そして果には「医療制度」や「都市」のあり方についても、今回人類全てに「それで正しいのか?」という判断が突きつけられたのだと思います。

コロナ前ですら、2020年は大きな分岐点と言われてきたのです。5Gはスタートしましたし、シンギュラリティは目前だと言われていました。
そういった観点を考えると、コロナ前の生活を懐かしむのではなく、コロナがあった上でどのような手段を取れるか、どのような生活を送ることが出来るか、考えるほうが建設的です。

今医療に携わる人は、毎日必死に戦ってくださっています。
ならばそれ以外の人達には2つの義務があると思います。
1つは医療に携わる人の言葉をきちんと聞くこと。
そして、コロナ禍の中でも幸せに暮らすことが出来るよう、社会をより良くしていくこと。この2つです。
せめてコロナ後の社会を良くできるよう、自分に何が出来るのか、考えていきたいと思います。

(2021/01/20 書き直し)

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Published by
安藤隆史