アメリカ

肉不足のアメリカ、しかし養豚場では豚を大量に安楽死させ処分している

アメリカでは店頭から肉が消えています。
ファーストフード店で肉が確保できないため、トランプ大統領が直接電話して対応した程です。

しかしその一方で養豚場の職員は、育てた豚を大量に安楽死させ、処分しています。なぜでしょうか?

原因は「食肉加工工場の閉鎖」

コロナウイルスはあらゆる工場等で感染が拡大しましたが、それは食肉加工業も一緒です。
アメリカの食肉加工は流れ作業で行います。解体し、部位を分け、場所によっては骨を抜きます。
多くのスタッフが同じ空間で密集し、同じ時間に休息を取り、ほぼ同じ時間に同じトイレを使用します。

その結果、多くの食肉加工工場でコロナウイルスの集団感染が起きました。
例えばサウスダコタ州にあるとある豚肉加工工場では、数人の陽性者が出ました。
食品を扱う以上、衛生問題があがるのは致命的です。
その食肉加工工場は、アメリカの4~5%もの肉を取り扱っているそうですが、州知事や市長より14日間以上の閉鎖を促されました。

食肉加工業は必要な仕事ですが、もちろんテレワークできません。
消毒ステーションやバリアの構築等は検討されていますが、全ての工場ですぐに導入できるものでもありません。

食肉加工工場の様子(イメージ)

出荷できない苦しみ

そのように加工工場が閉鎖しているため、養豚場のオーナーは肉を出荷することが出来ません。

豚の場合、産まれてから食肉用に育つまで180日程度で出荷されます。
そのまま工場再開まで生かしておかばいい、と思われるかもしれませんが、大きくなりすぎても出荷できなくなるのです。
養豚場職員は断腸の想いで安楽死させているといいます。

一方、消費者は肉不足に苦しんでいます。
国全体であまりの肉不足のため、大豆由来の代替肉(フェイクミート)が売れ始める事態です。
確かに、穀物は保存が聞きますし、安定して供給ができます。加工のため密集する必要もありません。味もかなり進歩したため、あとはコストの問題だけです。

コロナウイルスは仕事の仕方や、コミュニケーションのとり方に変化を及ぼしましたが、食糧事情にも確実に影響を及ぼしています。
日本では感じにくいことかもしれませんが、アフターコロナの時代では、食糧事情も大きく変化するのかもしれません。

(参照:https://www.foxnews.com/food-drink/meat-industry-warns-shortages-plants-close-coronavirus

Published by
安藤隆史