感染者情報から個人の特定へ
韓国でもしコロナウイルスに感染した場合、感染前の行動は全世界に知れ渡ることとなります。政府がウェブサイトやアプリの通知で公開しているからです。
名前こそふせられていますが、年齢・性別・職場・おおよその住所・利用したコンビニ・移動につかった乗り物等が公開されています。
感染者には番号が割り振られ、もし交友関係の中に感染者がいた場合、そのナンバーの感染者とどのような関係性だったのかも記載されます。
これらの情報は有志によってまとめられ、Map上に転載されています。
韓国では検査数を増やし、「すべての情報を理解しやすくする」ことが求められているので、このような措置を取っているのですが、もちろん問題も多発します。
この感染者情報を、Facebookやその他SNSの情報と照らし合わせれば、個人名を突き止めるのはそこまで難しくありません。感染者番号で検索すると氏名がでてくる人もいます。
更に、同じ日に同じ施設を利用していることから関係を邪推されたり、風俗店やLGBT向けのバーを利用していることが顕にされたり、「新天地」関係者ということで晒し者にされたり、顔写真や住所の詳細が公開されている人もいます。
感染して肉体的にも精神的にも打ちのめされている患者や家族には、あまりに厳しい仕打ちです。
更に、感染者が利用していた店舗や施設には多くの人が近寄らないようになっています。これは店舗の経営者にとって、経済的に大きな痛手です。
個人情報を犠牲にすれば感染拡大は止められるのか?
ネガティブなことも起きていますが、感染症対策で感染経路を特定することは非常に大切です。感染経路を特定しないまま放置すると、クラスター(小規模な患者の集団)が高確率で発生します。
クラスターへの対処が間に合わなくなった場合、それは大規模感染を誘発します。大規模感染は医療崩壊を招き、こうなるともう対処療法を打つことしかできなくなるのです。
そのため韓国のみならず、日本やその他多くの国々で感染経路の追跡は行われています。
例えばシンガポールでは政府技術町が「Trace Together」というアプリをリリースし、自分がもし感染者と接触していた場合、迅速に警告されるよう手はずを整えています。このアプリはインストールした人の行動も記録しており、万一自身が感染した人には、すべての行動経路を提出することが出来ます。
(自動的にアップロードされたり、政府が検閲する訳では有りません。一旦ローカルに暗号化した上で保存され、本人の同意のもとに開示されます)
なおこの「Trace Together」はオープンソース化も検討されているので、他国でも利用される可能性があります。
他にも個人情報を利用してコロナ対策を行っている国はあります。その最たるものは中国です。世界で最初にコロナウイルスが大流行したこの国は、世界で最も国民を監視している国でもあります。
WeChatやWeibo等のアプリは、常に位置情報を記録し、国民に対するランク付けを行っています。
これらは市街地のあらゆるところに置かれた監視カメラとも連動しており、マスクを着用することなく出歩いている市民は、顔認識により追跡が行われ、時にドローンで警告がなされます。
ここまで行っている国は中国以外にないでしょう。
またイスラエルでは「対テロ組織に利用される高度な監視ツール」を、コロナウイルス対策に利用し、個人の追跡を行うことを首相が発表しました。これまでテロリストに対して利用されてきたツールを国民に対して利用するというのは、感染症対策だとしてもあまり気持ちのいいものではないかもしれません。
国民は個人の追跡をどこまで許すのか
逆に個人情報を収集できず、苦しんでいる国もあります。ヨーロッパ各国はまさにそれです。2018年から適用されている「EU一般データ保護規則」(GDPR)は、個人情報の収集・取り扱いに大きな制限を掛けています。
常時にはプライバシーを守るため頼もしいそれも、集団感染を防ぐためには邪魔になります。
ドイツやオーストリアでは先程の「Trace Together」のようなアプリを立ち上げようと提案がありましたが、アプリをリリースするに当たり、GDPRに抵触しないかどうか、細かくチェックしなければなりません。
この迅速な対応が求められている時期において、非常に難しい問題を突きつけられています。
しかし最初に述べたとおり、個人情報の活用にはデメリットも多分にあります。
個人情報を収集されたり、公開されたりすることを怖がるあまり、患者が医療機関に掛からないケースがあるのです。
そういった人が増えた場合、隠れたクラスターが発生するかもしれません。
(先日の小池都知事が「接客を伴う飲食店」に行くのを避けるよう求めたのは、そういった流れを防ぐための説もあります)
また個人の属性が公開されることで、感染者の出た組織に対して、新たな差別の誘発が起こりかねません。
この問題は非常に繊細な課題です。感染拡大を防ぐか、個人の権利保護を優先するか、世界各国の政府が選択を迫られています。
ただでさえコロナウイルスの各問題は、人類が経験したことのない課題をいくつも突きつけてきます。
正解は収束するまでわかりません。もしくは正解のない問なのかもしれません。
(コロナウイルスに関する正確な情報は、各省庁の発表を御覧ください)
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