コロナ禍で大学生が直面する危機
現在、コロナウイルスの第3派が押し寄せており、日本全体でも予断を許さない状況が続いています。
連日、感染者数は最大を更新することも多くなり、都内では500人近く、全国では1500人近くの感染者が毎日発生しています。このようにコロナウイルスの直接的な危機が増大すると、仕方がないことではありますが、コロナによる2次的、3次的被害の方に目を向けられることは必然的に減ってしまいます。GOTOトラベル事業の大阪、札幌除外といったことはその1例です。
そして、今回取り上げる、「コロナ禍で大学生が直面する危機」といった問題も、一時期取りざたされはしましたが、今では少し鳴りを潜めてしまっています。
ニュースや新聞で報道されることが減少すると、現在大学生がどんな状況にいるのかといった現場の声は全く入ってこなくなってしまいます。今回は、大学生である私自身から見た「コロナ禍で大学生が直面する危機」を、少しでもお伝えできたらと思います。もちろん、大学といっても1括りにできるものではなく、規模や立地によってコロナへの対応は異なりますので、「このような大学生も存在する」という認識で読んでくだされば幸いです。
1度も同級生と会えない孤独な1回生
まず、コロナの影響で1番大きな影響を受けているのは、1回生と4回生でしょう。これは大学に限らず、中学や高校でも似たような事が言えますが、新しい環境に向かう人や、これまでいた場所を離れる人がよりコロナによる影響を受けやすくなっています。
1回生に関しては、せっかく受験を乗り越えて大学に入学したものの、いまだに対面授業や課外活動はほぼ行われず、入学前に憧れていた「大学生活」を1度も体験していない人もいます。
しかし、より深刻といえるのは、他府県の大学での下宿生活をを始めた1回生です。慣れない独り暮らしを不安に思いながらも、新しい生活にあこがれて下宿を始めた1回生の中には、いまだに同級生と1度も会えていないという人も存在します。
しかも、他府県からの下宿生は、高校までの友達は周りにほとんどおらず、今まで頼ってきた家族も側にはいません。大学新聞では「今はとても不安だが、他のみんなが同じように不安な状態なのかすらわからない」といった投書も投稿されていました。
もちろん、下宿生全体がそういった状態にあるわけではなく、1回生でもSNSを駆使して友人を作ったり、数少ないイベントで友人を増やして楽しんでいる人も中にはいます。
しかし、オンラインでのやり取りが苦手だったり、そもそも人間関係があまり得意ではない人は今年度は一切大学との関りがないことも少なくなく、誰もいない下宿先でいつ終わるのかわからないコロナ禍に不安を覚えているのです。
また、例年であれば年初めに行われるはずだったアイスブレークの機会が希望参加制のような形になり、コロナを警戒して参加しなかった人ほど「乗り遅れてしまった」感が強くなってしまうという部分にも大きな問題があります。
内定取り消しに絶望する4回生
先ほど述べた通り、今までいた大学という環境をはなれる4回生もコロナの影響を大きく受けています。それに加え、4回生は、就職という人生の中でも1番ともいえるほど重要なイベントを控えており、就活にも制限が出てしまいました。
企業の中には、先行きが不透明な中で一度は決まった内定の取り消しを行ったところもあります。
内定取り消し、200人超 コロナ禍で9年ぶり―20年卒・厚労省
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020102000963&g=eco
上の記事にもあるように、秋の時点で例年の5倍以上の200人越えの内定取り消しがあり、震災のあった2011年と同水準の状態となっています。もちろん、これは調査された分の人数であり、実際にはこれ以上の内定取り消しが発生されているはずです。
せっかく勝ち取った内定をいきなり失ったうえに、その後の就活もオンラインなど制限を受けるというのは、中々に酷な話といえるのでは弐でしょうか。
バイトの休業や授業料で金銭的にひっ迫する大学生
コロナ禍においては、大学生の金銭面での問題も生まれています。1番分かりやすいところでは、コロナの煽りをもろに受ける飲食業が、今まで雇っていた大学生のアルバイトを雇うのを一時停止してしまうことで、給料がもらえなくなりました。
もちろん、現在では「新しい生活様式」の一環としてコロナに対応した営業を行う店もありますが、それでも時短営業などなんらかの制限を受けていることが多いです。すると、人件費を削る必要が出てしまい、その時に一番簡単に調整が聞いてしまうのがアルバイトの大学生、ということになってしまいがちです。
「親が無職に…」コロナで困窮の学生に給付金を 独自の支援の自治体も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/61358
そして、上の記事のように、親がコロナによって職を失い、それによって学費が払えず大学生が困窮してしまうという事態も発生しています。これに対応するため、政府や大学は困窮する大学生に補助金を渡していますが、これも一時的なものでは意味がないので、ある程度継続して本当に困っている大学生を支えていく必要があります。
また、入学時に下宿を借りたはいいけれど、コロナの影響で結局実家で暮らすことになった場合の空家賃も家計の大きな負担になっていました。「実家にいるなら下宿を解約すればいい」という人もいるかもしれませんが、実際は大学がいつ再開されるかわからず、すぐに大学の対面授業に参加するために借りっぱなしにしておく必要があったのです。
この件も含めて、大学の動向が中々読めないというのも大学生やその家族の大きな負担になっています。
世間と大学の大きな温度差
ここまで、他でもない大学生自身から見た、コロナ禍における大学生が直面する危機を紹介してきました。
コロナ禍は非日常であり、その中で一定の負担を国民全員が強いられる必要があるというのは理解できます。もちろん、その中には大学生も含まれており、授業や課外活動において制限を受ける必要もあるでしょう。
しかし、世間と大学での実情にあまりにも乖離があるのではないかと思うのもまた事実です。小学校~高校までは、早いところでは5月ごろから対面の授業を再開し、今では部活動も行っているところもあります。
また、現在は除外される地域も出ていますが、政府はGOTOキャンペーンを行い、旅行や外食を通じて経済の活性化を図ろうとしています。
街を見てみても、通勤や通学による朝のラッシュは軽減されたとはいえ存在しており、休日のショッピングモールや夜の飲み屋街も人でにぎわっています。
それらが決して悪いことだとは思いませんし、経済の活性化や人々の活力のためには必要な行為でもあるでしょう。
しかし、こういった世間の状況と比べて大学は少し「ずれて」しまっているのは確かです。以前は、大学で1人でも感染者が発生すると安易にクラスター認定されてしまい、世間からバッシングを受けたので大学側が慎重になりすぎているといった意見もあります。
もちろん、コロナ禍においては慎重を期すことは重要です。だからこそ、世間と大学のずれが発生している現状、世間と大学のどちらがより「今あるべき姿」なのか、ということを絶えず検証して、しっかりとコロナに対応していく必要があるのではないでしょうか。
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