みなさん、もちろんJ.K.ローリングさんのことはご存じですよね。そう、あのハリーポッターシリーズの作者です。では、ローリングさんの半年前のツイートが未だに物議を醸していることはご存じでしょうか?
もし性別がリアルなものでないなら、同性愛などあり得ない。性別がリアルなものでないなら、世界中の女性が歩んでいる現実は失われてしまう。トランスの知人がいるし彼らのことは大好きだけど、性別というコンセプトをなくしてしまえば、人々は自分の人生についての意味ある議論ができなくなってしまう。真実を語ることは、ヘイトとは違います。
この他にもローリングさんはトランスジェンダーについての持論をたくさんツイートしています。このツイートをきっかけに、海外では活発な議論がなされています。
そもそもトランスジェンダーって?
近年よく聞く、セクシャルマイノリティーを指すLGBTQという言葉がありますが、その中のTが表しているのがトランスジェンダーです。
トランスジェンダーが何か、という説明をするのは大変難しいです。何故ならばトランスジェンダーにはいくつか定義があるからです。
ごくごく簡単にいうと、染色体等からわかる医学的な性である身体的性と、自分をどのように認識しているかという、性自認に不一致があり、それに違和感をおぼえている方々のこと、です。
それでは早速海外の掲示板サイトでの議論を見ていきましょう。
トランス女性と生物学的女性は別物?
スレッドを建てた人はとあるビデオを見て、こんなことを思ったそうです。
今日ローリング氏の例のツイートに関するビデオを見ました。あのツイートにとても傷ついたと同時に、トランスの人々を危険にさらすような思考だ、ということが語られていました。
私の理解している限りでは、ローリング氏はトランス女性(※身体的には男性だが性自認は女性)は女性であると同時に、生まれつき女性として生まれた女性とは別物である、というスタンスをとっていますよね?それって、間違っているんでしょうか?生物学的レベルでは、両者は別物だしそれは事実だと思うのですが。
何故それに腹を立てる人がいるのか、なぜトランスジェンダーの人々にとって危険な思想なのか、ということが私には理解できません…。
確かに、この方の意見は一理あります。
では、これに対してどのような反応があったのでしょうか。
トランスは科学的に証明されている
もし、新生児を性転換させ、別の性として育て、その子にホルモンを投与し続けたとしたら、どうなると思いますか?新しい性を受け入れるのか、それとも違和感を感じるのか。
反トランス派の論理では、新生児をどのような性別にでも育てられるとします。それは、性別とは気持ちの問題であり、人はそもそも自分が何者であるかについてよく混乱するという考えがあるからです。
しかし反トランス派よりも、科学のほうがもっと正確な答えを知っています。実は数十年前、こんなことが行われていたのです。
(中略)
親の許可を得て、小陰茎症の新生男児の性別を変え、女児の名前を付け、秘密裏に一生ホルモンを打ち続け、女の子として育てる、ということです。
結果として、そのように育てられた子は、トランスジェンダーの方々と同様の強烈な違和感を感じているということがわかりました。同時に、この違和感を解消する方法もまた、その子たちの望む性別として人生を歩んでもらうというものでした。
つまり、トランスジェンダーも性別を強制された子供たちも、「別の体を持ち別の性別として生かされてしまっていると感じている」ことに変わりはないのです。性別というアイデンティティは生まれると同時に芽生えているものであるのだから、脳そのものを壊してしまわない限り「治す」などということはできないのです。
今から約20年前、こんな実験もなされていました。
脳には分界条という部分があります。分界条は男性の脳のほうが大きさも細胞の密度も女性の脳の倍です。
研究チームは、この差を活かして、トランスジェンダーの脳が自分の望む性体的性のどちらの脳に近いのかを見ていくことにしました。
とても興味深いことに、身体は男性、性自認は女性として生まれてきた人の分界条は、シスジェンダー(※)女性の分界条にサイズ、密度ともに似ており、トランスジェンダー男性についても同じ結果となりました。
(中略)
新たな研究によると、思春期のトランスジェンダーの脳機能は、自らの望む性別の脳により酷似していることがわかっています。つまり、
脳機能の性差は早期成長期に現れている可能性があり、今後脳機能の画像化や分析が、若者がトランスジェンダーなのかどうか認めるために役に立つと考えられています。
トランスジェンダーとして生まれてきた人々は、ただ自分にとってナチュラルな性別として生きたいのです。
(※シスジェンダー=身体的性と性自認が一致している人)
この方の意見では、脳の作りを根拠として、シスジェンダー女性とトランスジェンダー女性は生物学的にも女性であるといえるということですね。
とても興味深いです!
↑素晴らしく良く書けているね。性っていうのは体についてる生殖器だけに左右されるわけじゃないってことだ。みんながみんな性自認と体が一致して生まれてきていると思い込むのはフェアじゃない。
↑わかる、わかるけど…。例えばトランスジェンダー女性はシスジェンダー女性に比べて、スポーツでは圧倒的に勝るんじゃない?生物学的に同じだから競技させるの?NOといえばトランスジェンダー女性の権利を踏みにじることになるし、YESといえばシスジェンダー女性の夢を奪うことになるような気がする…。難しい。
どう公平さを保つべき?
99.9%のトランスジェンダー女性は同意すると思う、自分たちは生物学的に女性ではない、ってこと。だから自分たちのことをトランス女性と呼んでいるんでしょう。
だけど、彼女らが自分を女性と認識しているわけだから、女性であると事実は変わらない。生物学上の雄雌と、性自認は似ているようで、別の話。
↑いいポイントですね。
ここで出てくる問題としては、この性別と性自認の違いという考え方をどう私たちの生活のあれこれに当てはめていくことではないでしょうか。
もちろん人により生物学上の性と性自認のどちらを重要視するかは変わってくるでしょう。トランスジェンダーの方にとっては性認識が大事でしょうから、自分の行きたいトイレや更衣室に入れる権利を求めるでしょう。
ですが、今の社会は生物学上の性を重要視する傾向にありますから、どのようにバランスをとっていくのかはこれからの大きな課題だと考えます。
トイレや更衣室もそうですが、スポーツが一番わかりやすい例です。どのような線引きをすれば一番トランス女性にもシス女性にも公平になるのでしょうか?どう線引きがされるにせよ、どちらかが譲歩せざるを得ないと思いますが、いつかはこの難しい決断を下す時がくるのです。
トランスジェンダーは守られ支援されるべきだ。
だが同時に、全員が安全と感じられ、かつ公平に扱われるようなガイドラインの作成が必須だと感じる。
例えば、トランスジェンダーの人を全てのトイレや更衣室に受け入れるというルールが、全ての人にとって安全であるのだろうか?
もちろん、トランスジェンダーの方々の権利は守られるべきです。しかし公序良俗との兼ね合いや、どのようにバランスをとっていくのかという議論もなされています。
では、実際にトランスジェンダーの方々はどのように考えているのでしょう?
トランスジェンダー側からの意見
トランス女性です。
私は生物学上の女性ではありません。男性でありたくないとの思いとは裏腹に、一生生物学上の男性のままです。
一定多数、この事実を否定しようとする人はいますが。それは生物学を否定するということです。だから心配しないで。私たちは確かに生物学上の女性ではない。
ですが、私は社会的に、そして精神的に女性です。それだけの話。
私はトランス女性ですが、悪意をもって私を男性と呼んでくる場合以外は、男性と間違われても特に問題はありません。間違いは起こるものですから、怒る必要はありません。
もし私が女性に見えなかったのなら、私が見た目にもう少し気を付ければいいだけの話。どう見られるかは、ほとんどどう着飾っているかで決められている、そう感じます。
トランス男性、もしくはノンバイナリー(男にも女にも当てはまらない)の者です。まだ自分でもどちらなのかははっきりしていません。
とにかく私は自分の身体が嫌いです。胸とか膣とか生理とか…ありとあらゆるものが嫌いです。私は本来ならばペニスが付いて生まれてくるべきだった。
例えば自分の鼻が低いとか身長が高すぎるとか、そういう風に自分の身体に満足していないのと同じです。
社会の大多数は、性別と性自認が違うということをほとんど理解していないように思います。シス男性のような人を見れば、瞬時にあらゆる男性にまつわるステレオタイプやら男性に対する期待と結びつけます。
みんな私の声を聞くまでは私を男として扱ってくれるのですが、”そうではない”とわかった時…。自分の居場所であるべき場所にいる人からの全否定を受けた時、自分の身体がもっともっと嫌いになります。
自分が望む通りに周りから見てもらえない…。トランスジェンダーはどれだけの苦痛や違和感を抱えて生きているのか、図り知れません。
私たちにできること
ここまで、ローリング氏のツイートをきっかけに、トランスジェンダーについて海外でどのような議論が行われているのかを見てきました。
これを見て、あなたはどのように感じましたか?
最後に、スレッドの中にあったこんな言葉をご紹介します。
「認める」ことが全身への第一歩
「無視する」 ことは思い違いを助長するだけ
世の中には様々な類の差別や不平等があります。
その現実を知り、認め、どう改善していくべきなのかを一人一人が考えることが大事なのではないでしょうか?
こちらは、LGBTQへの理解を深めていくための支援活動を行っている団体、自分らしく生きるさんの動画です。
YOUTUBEにたくさん動画がありますので、是非見てみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=Lih10ovUQYc&feature=youtu.be
世界中の誰もが、自分の歩みたい道を歩めますように。
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