コラムコロナ健康・医療・生き方

コロナウイルスワクチン、開発出来ない場合のシナリオ

多くの人に見ていただいた「コロナはいつ終息するのか 多数の説を検討してみる」という記事でも書いたとおり、コロナウイルス終息にはワクチンの開発が非常に重要な要素となります。

しかしながら、「ワクチンが出来る」というのは仮定の話でしかありません。
非常に消極的な話で申し訳ないのですが、ワクチンの開発に成功していない病気は数多く存在しています。

例えば有名なところでいえばHIV(ヒト免疫不全ウイルス)です。
1983年にこの病気が確認されて以来、あらゆる挑戦がなされてきました。ワクチンはその中でも最大の希望として、多くの国が研究費を投じ、開発を目指してきました。
しかしながら、2020年現在HIVのワクチンは開発されていません。つい先日も臨床試験が行われましたが、結果は芳しくないものでした。

HIVワクチンへの期待しぼむ 臨床試験で効果みられず

ただし、HIVとコロナウイルスは性質が違います。
HIVは遺伝子変異を起こしやすいウイルスですが、コロナウイルスは変異を起こしにくいウイルスです。ですのでHIVに比べれば難易度は低いのかもしれません。

ワクチンの開発目処について、あらゆる専門家の声をまとめてみました。
比較的短期間での開発(ワクチン開発で数年以内というのは驚異的な短期間です)ができる、と確信している専門家も少なくありません。

(ビル・)ゲイツ氏は4月30日のブログ投稿で、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の「アンソニー・ファウチ所長はコロナワクチン開発には18カ月程度かかると考えていると述べていた」と説明。「私は彼と同意見だが、最短で9カ月、最長で2年となる可能性がある」とした。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-01/Q9MIY4DWRGG001

(ワクチン開発プロジェクト)Modernaは、2020年秋にもワクチン提供を開始する計画と言及している。その他では、Novavaxが5月、Medicagoが7~8月、Johnson & Johnsonが9月までに臨床試験に入る。GSKは「うまく行けば億単位のワクチン生産体制(=量産体制)が2021年後半にも確立される見込み」と言及しているが、どの程度が日本に入ってくるかは不透明感も強い。

https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202005010616

オックスフォード大学の研究者チームは5月末までに、6000人以上を対象とした新型コロナウイルスワクチンの臨床試験をほかに先駆けて行う予定になっている。安全性だけでなく、有効性も実証したい考えだ。同大学の研究者によると、効果が確認されて当局の緊急承認が得られれば、最初の数百万回分のワクチンは9月までに利用できるようになる可能性がある。公表されているほかのいかなるワクチン研究よりも、数カ月は先を行く。

https://toyokeizai.net/articles/-/348184

そしてcGMP品質のワクチンを大量に製造するための生産能力が必要になりますが、全世界の人が利用できるようにするだけのワクチンを作ることは、2020年4月時点では難しいと考えられています。加えて、ワクチンの配布と投与には時間がかかり、人口の大部分がワクチンを接種するには、少なくとも数週間は必要だとのこと。さらに、一度のワクチンでは効果が小さく、複数回のワクチン接種が必要である可能性を考えると、2度目のワクチン接種は3~4週間後に行われ、そこから1~2週間してようやく免疫効果が現れることになります。これらを総合すると、臨床試験の開始後6カ月より前にワクチンが可能になることはなく、2020年3月末にはWHOが「ワクチンは少なくとも12~18か月先」と発表しますが、現実にはそれ以上の時間が必要だとのこと。

https://gigazine.net/news/20200417-sars-cov-2-vaccines-status-report/

ある程度楽観的な意見もありますが、まだこれは目標でしかありません。
全ての研究者の皆さんに敬意を払いつつ、一方で悲観的なシナリオも検討する必要があります。

ワクチンができなかった場合のシナリオ

ある程度の「リスク」は容認せざるを得ない

月次な例えですが、2019年の国内交通事故死亡者数は3,215人です。しかし車を廃止しようという声はあがりません。多くの生活に必要だからです。
それと同じことが、コロナウイルスに対しても行われるかもしれません。生活の利便性のためにある程度の犠牲を許容するのです。

もちろん、交通事故をなくすための試みがなされているように、感染拡大防止のための試みはなされるでしょう。
しかし、それを理由に経済活動が止まることはありません。人々はショッピングを楽しみ、ある程度衛生に気を遣われた外食をし映画を見ます。そして帰宅したら手を洗います。そんな日常を過ごしますが、裏では交通事故と同じくコロナウイルスにより一定数の死者が出続けるのです。

ゾッとするかもしれませんが、自動運転車に切り替わった後、現代を振り返ればおそらく同じように見えることでしょう。

しかしワクチンが出来なかったからと行って、絶望する必要はありません。HIVがワクチンこそ出来なかったものの、症状の抑え込みには成功したように、症状を緩和する薬品の開発なら出来るかもしれません。
また既存の薬品の中にも、そのような効果を及ぼすものがないか、数百もの実験が行われています。

今はただ、期待して待ちましょう。

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