厚労省 来月から大規模な抗体検査実施へ 東京・大阪・宮城
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200515/k10012430791000.html
いよいよ日本でも抗体検査が実施されることに成りました。
厚生労働省では3000人程度を無作為に抽出し、何%程度の人が抗体をもっているのか把握することで、コロナウイルスの全貌をつかもうとしています。
個人としてはあまり意味のない検査
なお抗体検査に対しては、「ゲームチェンジャー」と呼ばれるほど期待している方もいらっしゃいます。
抗体を持っているなら、元の生活に戻れる!という期待からですが個人個人の結果に対しては、そこまで意味を持たないかもしれません。
例え抗体検査で陽性だった(自身が抗体を持っていた)としても、それは今後の感染が100%防げるということではありません。
WHOは24日の声明で「抗体を持つ人が再び感染しないという証拠はない」という警告を発しました。
WHO、抗体検査が陽性でも「免疫パスポート」にはならないと発表
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/031800041/042700026/
また、検査の精度の問題があります。
これはPCR検査でも散々言われた話です。
例えば90%もの高い精度で検査ができたとします。そして本当の抗体所持率が5%としましょう。
その場合、抗体を持っていないにもかかわらず、抗体をもっていると誤って表示される可能性は70%近くあります。
ですから、もし抗体検査で陽性反応が出たとしても、個人の行動を変えるべきではありません。
コロナの全容を理解するのには重要な検査
では抗体検査はまったく意味がないのでしょうか?
いいえ、コロナの全容を理解するためには必要な検査です。
現在、コロナウイルスがどの程度感染力があるのか、どの程度致死率があるのか、はっきりとしたことは誰も理解できていません。
未だ戦いの途中ということもありますし、国ごとで明らかに差が出ているからです。
抗体検査はそういった部分に光を当てます。
ひょっとしたら、何が要因で国ごとの差がでているか、という点も判明するかもしれません。
しかしながらその場合、検査数を莫大な数行ったり、国民全員が検査を受けたりする必要はありません。
これは統計の問題です。無作為に一定数を検査することで全体も把握できるからです。
むしろ抗体検査を受けようとして、人が病院に殺到したりすることで、医療崩壊や感染拡大第二波を招く危険性があります。
「抗体検査は血液を垂らすだけなので、郵送でも出来る!」という案もありますが、抗体検査で陽性だった人達が、安心しきって元の生活に戻ってしまえば、それはそれで感染拡大第二波の危険が拡大します。
さっき行ったとおり、検査の精度の問題がありますし、またその人が「治った人」ではなく「今ちょうど感染している人」という可能性も十分にあるからです。
焦らずとも抗体検査によって、安全性を保ったまま社会活動を行う方法等も、明らかになるかもしれません。
緊急事態宣言は解除されましたが、元の生活を完全に取り戻すには、まだわかっていないことが多すぎます。
今は落ち着いて、人類がコロナウイルスを理解するのを待ちましょう。